開発の裏に女性6人、電子コンピュータ誕生秘話

歴史から見る女性は理系科目が苦手は本当か

かつて、コンピュータ時代の始まりを支えた女性たちがいました(写真:izusek/iStock)
コンピュータとインターネットは現代のひときわ重要な発明に数えられるが、誰が作ったのかはあまり知られていない。本稿では世界初の電子式コンピュータ登場の裏にいた6人の女性プログラマーの挑戦について、ウォルター・アイザックソン著『イノベーターズⅠ』『イノベーターズⅡ』を再構成しお届けする。舞台は74年前のアメリカだ。

――求む。数学の学位を持つ女性……。これまで男性が優先されてきた職場で、この度は女性を採用します。今こそ、科学と技術の世界で働くチャンスです。

ペンシルベニア大学による求人広告が出たのは1945年。世界初の電子式コンピュータ「ENIAC」のプログラマー募集だった。ENIACを開発したエンジニアは全員が男性。当時プログラミングは「技術力など不要の単純作業」だと見なされており、だからこそ、女性がエンジニアになることなど考えられない時代に「女性求む」の広告が出ることになった。

コンピュータのプログラミングは、ハードウェアの設計に匹敵するほど重要だ。現代の私たちが皆知っていることを証明したのは、今から74年も前、アメリカ全土から集結した6人の理系女性だった。

採用面接の質問は、「電気はこわくないか?」

ミズーリ州郊外の農家で生まれた20歳のジーン・ジェニングスは、州立大学を卒業するとき、微積分の教授にこの求人広告を見せられた。面接で、ENIAC開発を指揮するハーマン・ゴールドスタインに電気についての知識について質問された彼女はこう答えた。

「物理課程を専攻し、E=IRは知っています」

言わずと知れた、電流と電圧と抵抗を定義したオームの法則について述べたのだが、ゴールドスタインの返事はこうだった。

「いやいや、そんなのどうでもいいんだ。電気はこわくないか?」

採用されたのはジーン・ジェニングス、マーリン・ウェスコフ、ルース・リクターマン、ベティ・スナイダー、フランシス・ブラス、ケイ・マクナルティ。宗教もバックグラウンドも違う、6人の理系女性たち。

与えられたのは、膨大な量のENIACの構成図と配線図。微分方程式を解析したうえで、適切な電子回路となるようにケーブルを配線する方法を考えるのが彼女たちの任務だ。

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