「喪中見舞い」日本人が知らない意外な仕掛け人 おせちにまで拡大する「喪中ビジネス」の実態
喪中見舞いの仕掛け人は、お線香で有名な日本香堂。線香市場は2003年の758万kgの出荷総数から年々減少し、2017年には505万kgまで減少しています。お線香を販売している仏壇・仏具店も、1994年の3669億円をピークに2016年は1794億円と大幅に減少。線香市場は先細りの傾向がありました。
各メーカーは煙や香りを抑えた「微煙」「微香」商品や、ラベンダーやバラの香りが漂う「アロマ香」などを投入し、市場の縮小化を避けようと懸命に新商品の開発に挑んでいますが、決定打はありません。
そんな中、近年はその減少幅が鈍化しています。日本香堂が「喪中はがきが届いたら」というキャンペーンを開始し、贈答用お線香のCMを流しはじめました。これに勢いがついたのが2013年から日本香堂と日本郵便がコラボレーションした喪中見舞いキャンペーンです。
日本郵便がラインナップした商品は喪中見舞いはがきのほか、お線香とお悔みカードをセットにしたもので、それぞれ切手を貼るだけで送ることができる手軽な商品ということもあって注目を集めました。
贈答用お線香から端を発した喪中見舞いは、電報サービスに広がり、弔電メッセージとお線香やお花をセットにした商品の開発が進みました。さらにカタログギフトや花キューピッドなど、さまざまな分野に広がり、認知度もアップしています。
少し前の調査にはなりますが、2014年の日本香堂の調査によると、喪中見舞いという言葉の認知度は4割強。さらに知っている人の4割近くが喪中見舞いの贈答経験ありと回答しています。
「喪中用おせち」まで登場
また、食の分野でも、「喪中」をテーマにした商品が出始めています。その代表が、「喪中用のおせち料理」です。
おせち料理は、祭礼など特別な時間と空間を意味する「ハレ」の時に振る舞われる料理ですから、「ケ」である喪中時に食することについては賛否あります。しかし最近では、家庭内で食する程度であれば、あまり気にしないという人が多くなっているような気がします。
さらに年々、日本の死亡者数≒喪中人口が増えているわけです。おせち料理販売業者としては、わざわざ売れ行きに水を差すまねはしたくないでしょう。
喪中用をアピールするためか、紅白や縁起物の食材を避けたり、飾りつけをシンプルにするなど工夫を凝らしたおせち料理を市販する業者まで出てきています。そうは言っても喪中用とは名ばかりで、実際の商品は色どり豊かでお祝い膳にしか見えないものがほとんど。喪中おせち料理が新潮流となるのかは、今後のラインナップ次第でしょう。
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