太田 ある方が、大学生がビジネス書を読んで、下地もないのにわかった気になるのは、たいへん危険だとおっしゃってました。社会人として働いて、現実を知ってから読めと。
神原 それに、世の中を本当に面白くしたり変えたりしたいと思ったときは、やはり会社というリソースを生かさない手はないと思うのです。会社を説得して、そこに自分の考えを入れる。その際に会社を出る必要はない。会社を使い倒さないで、いったい社会でどれほどのことができるのか。そもそも、仕事というのは世のため、人のためにするものであって、自分の成長というのはその後についてくるものですから。
太田 神原さん、大きな組織に属していらっしゃるから、なおさらそうですよね。独立した人が残すインパクトと、大企業に属してる人が残すインパクトにはすごく差がある。独立起業した私としては、そこにあこがれます。
神原 実際、辞めていった先輩や同僚がいます。でも僕は、そういう人たちに「辞めなきゃよかった」って思わせる仕事をしたいのです。独立起業された太田さんを前に挑戦状をたたき付けるようですけど(苦笑)。
太田 (笑)。
神原 会社という大組織・大資本の力を最大限利用しないと日本社会が大変だという今の時代に、会社から出ても、結局、どこかしらの会社と取引をするわけです。そのために、その会社に出入りする通行証を発行してくださいって頭を下げるのは、あまり賢いやり方ではないと思うのです。
太田 たとえば、多様な働き方という流れの中で、一度起業した人も組織に戻れるようなキャリアパスがあってもいいですよね。
神原 今、博報堂がそういうプログラムをやっているみたいですね。今こそ、会社の持っている歴史・能力・伝統・福利厚生を、もう一度ゼロベースで再構築できるチャンスに満ちた時代です。それをわからない状態のまま辞めていくのはもったいない……という話を、いろんな編集者の方にしゃべっていたら、別の本を出すことになりました。タイトルは『会社にいやがれ!』。
太田 いいですね、その書名。
神原 会社に可能性があると再認識してほしいのです。独立して成功している人のことを、ただうらやましがったり、俺もなりたいというんじゃなくて、わが社だったらその考えをどう生かせるかという発想をすべきなのですよ。しつこいようですが、「代案」をつねに考え続けることに給料をもらっているという意識を、会社人としては忘れたくないし、若い人にも忘れてほしくないですね。もちろん自分にも言い聞かせています。
太田 まさに、渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』。
神原 はい。置かれた場所で咲けない人が、別の場所に種ごと持って行ったって咲けるわけがないんですよ。
(構成:稲田豊史/収録場所:cafe lounge SUNS )
「今」いる場所で、 鍛えて輝こう。
会社という恵まれた環境だからこそ、
自分を磨いて、会社の力を最大限生かして、
新しいルールや、これまでにない仕事を
自分たちの手でつくり出してください。
そこにこそ、社会を変え、日本や世界を
面白くするチャンスが隠れています。
25歳以下の若手社員と、その上司、そして就職活動中の学生に向けた
「サバイバル・マニュアル」です。
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