「遊ぶように働く」を本当に実現した人の発想 学歴や職歴よりずっと大事なこと
小宮山:私はよく仕事で海外に行くのですが、そのたびに感じるのは、世界のエリートは非常に学びに貪欲だということです。オンライン学習はもちろん、見るもの聞くものすべてから何かを学び取ろうという姿勢がある。ひるがえって日本を見てみると、「学びの習慣」がない社会人が多くて愕然としてしまうんですね。「この国は大丈夫だろうか?」と。ピョートルさんはその状況についてどう思われますか?
ピョートル:結局、人生に教科書はないんですよね。でもどの分野でも、結果を出している人は、意識と無意識を越境できて、無意識の中でいろいろなパターン、サイクル、トレンドを回しているんです。そのレベルに達するためには、やはり社会人になってからの学びこそが不可欠で、多様な刺激、多様な情報に触れることが必要です。それをいかに早くキャッチできるかが、ポイントになるんじゃないでしょうか。
ぼくは講演会に呼ばれると必ず参加者に、「好奇心を持って集中して聞いてください」とお願いします。なぜなら、その話が面白くないと思った瞬間に学びが終わるからです。逆に言うと、目の前にあることを何でも面白がって、好奇心と集中力で分析したり観察すれば、何らかの学びを得られるはずなんですね。
「学び」を得る手段
小宮山:私も、好奇心のおもむくまま行動して、興味のカケラを拾い集めることがとても重要だと思います。そのカケラをたくさん集めるためには、旅行でも留学でも、興味あるイベントでも何でもいいので、今いるところから抜け出して知らない世界を見ることですね。
ピョートル:自分とは関係なさそうに見えるものって、実は大事ですよね。そんな時間も金もないという人は、Netflixで「south park」を観るだけでもすごい学びがありますよ。
今の政治や経済や社会のトレンドやでたらめを、リアルタイムでアニメ化していて、「だまされてるあなたはバカだよ」って言われているような気がして(笑)。常識がひっくり返される面白さがあるから「これめちゃ面白くてヤバイ」と思いながら見てしまいます。
小宮山:私は一時期、原始時代の技術進化を再現していく「Primitive Technology」という動画をよく見ていました(笑)。アメリカですごく人気があるんですよ。「大人の学び」というと、資格や試験を考える人が多いんですが、本当の学びはそういうことじゃないんですよね。生きて生活していること自体が、その人次第でいくらでも学びになる。
ピョートル:もちろん、資格がないとできない仕事もあります。そう思ってぼくも、大学院にいくつか通ってマスター2つ、ディプロマ3つとりましたけど、博士課程は2回通って2回とも途中で辞めたんですよ。
なぜなら、博士になっても名前の前に肩書が1つ増えるだけで、当時働いていたGoogleの給料にも自分のスキルにも反映しないし、仕事上は何も変わらないからです。むしろ、博士論文を書く時間と労力があるなら、自分の本を出したほうがいいと気がついたんですね。
小宮山:なるほど、確かにそうかもしれませんね。
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