「遊ぶように働く」を本当に実現した人の発想 学歴や職歴よりずっと大事なこと

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小宮山:私の人生でどん底だったのは、幼少期と30歳前後の転職活動がうまくいかなかったとき。苦境に立たされるたびに、徹底的に自分と向き合いました。そして、苦手なことやつまらないこと、自分にとって価値がないと思ったことは、やらないと決めたんです。

ピョートル・フェリクス・グジバチさん(撮影・梅谷秀司)

ピョートル:「なぜ?」を考えて、自分の価値観が明らかになると、人生がすごくシンプルになりますよね。それは、普段の生活にも言えること。ぼくは、昔は腕時計やアクセサリーが大好きでかなり浪費していたんですが、今はユニクロで買った黒シャツとジーンズが定番のビジネススタイル。装飾品や高価なファッションは仕事の結果に全然関係ないというのが、ぼくの価値観だからです。

小宮山:私もよくメルカリで洋服を買いますよ(笑)。それと本にも書きましたが、「モノより体験」がモットーなので、自分の目で見て確かめて体験できることに惜しみなく自己投資してきました。教育とテクノロジーの分野に興味を持ち始めたときは、自腹でIT先進国のエストニアまで取材に行って、東洋経済オンラインに記事を書かせてもらったこともあります。

ところで、ピョートルさんが仕事を選ぶ際に、自分の価値観や信念のなかでいちばん重視したことは何ですか?

選択肢を増やす状況をつくることとは

ピョートル:簡単に言うと、選択肢を増やす状況をつくることです。とくに新しい仕事とやりたかった仕事を同時にできると、選択肢が増えますよね。でも、ベルリッツ、モルガン・スタンレー、Googleと、どの会社で働いているときも、いつか自分が組織を作って独立したいと思っていました。

小宮山:私は、大学院時代に韓国に留学したとき、自分が日本の政治に関してあまりにも無知だったことに気がついて、まずは政治の世界を知ろうと国会議員秘書になったんですね。当時の就活生の中では「激レア」で(笑)、変わったキャリアからスタートしましたけど、後々その経験がどれほど役に立ったかわかりません。

民間企業は、永田町の仕組みや情報に詳しい人を求めていることを強く実感しましたから。そのレアな強みを活かして転職を繰り返し、30代後半でいちばんやりたかった教育とテクノロジーの領域で働けるようになりました。今はさまざまな企業とコラボレーションしたり、大学で教えたり、仕事の幅が広がって楽しいです。

ピョートル:ぼくの本にも書きましたけど、キャリア形成している人には、「T型人材」「π型人材」「H型人材」がいます。

「T型人材」は特定の専門分野があって幅広い経験も兼ね備えているタイプ。「π型人材」は、2つ以上の専門分野を持っていて、分野を横断して能力を発揮するタイプ。「H型人材」は、特定の専門分野を持ちながら、他の領域に越境して橋渡しをしたり、他の専門分野を持つ人とのコラボレーションが得意なタイプ。小宮山さんは、「H型」ですね。

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