日韓関係が何度でも最悪になる「本質的要因」 何度謝っても終わらない日韓関係の深い溝

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ただ、政権が交代しない限り日韓関係の改善は無理だという結論を出すのはあまりに早計だろう。考えてみれば、小渕政権と金大中政権にも保守と革新の違いはあったが、両政権は大局に立ち返り、「歴史を外交問題にしない」という基本方針のもとで日韓関係を管理した。とくに韓国政府はこの点を想起し、この基本方針を日韓双方で再確認することが必要なのだろう。

日韓両国における相手を見る目の変化

第2に、日韓両国における相手を見る目の変化だ。過去においては日韓で問題が起これば韓国側の反日感情は燃え盛ったが、日本側はそこまで感情的にならなかった。だが今回は日本側に蓄積された反韓・嫌韓感情の大きさが背景にあるようだ。このような世論を背景に日韓両国政府は相手を「友好国」として位置づけることや、それにふさわしい扱いをすることに大きな躊躇があるようだ。

韓国が慰安婦問題や徴用工問題、レーダー照射問題などで日本側と十分意を尽くした協議を行おうとせず、日本側も外交青書などでも韓国を価値を共有する重要な隣国という位置づけから降ろしてしまった。通常友好国間では公開の論争を行う前に政府間の静かな協議を行うのを常とするが、最近の日韓関係ではそのようなプロセスは目につかず、直ちに世論に打って出るような気配がある。

2019年のG20でもほとんどの首脳とは個別会談を行っても韓国大統領との会談は実施されなかった。本来輸出管理規制を強化する場合も、十分な協議を経て実施に移すのが友好国間の基本的態様であるはずだ。

もはや敵意に満ちているとしか思えないような対応は関係を一層悪化させる。今日の政治は世界中至る所でそうであるが、外交における世論の役割は従来とは比較にならないぐらい大きくなった。ポピュリズムの台頭だ。世論を巻き込んだ外交が、結果的に相手を嫌う世論を増幅させ、政府もこのような世論から逃れられなくなった悪循環が起こっている。

日韓はあまり共通利益がなく友好国同士の関係ではないと言うなら、両国民の感情に従った関係になってもやむをえないだろう。改めて日韓関係は日韓双方にいかに重要か冷静に考えてみる必要がある。日韓にとり双方はともに中国、アメリカに次ぎ第3位の貿易相手国であり、投資の規模、人的交流(2018年日本を訪問した外国人旅行客の25%は韓国から)などから見ても大変重要なパートナーであることは疑問の余地がない。

今般の輸出管理の厳格化が韓国の半導体産業に大きな痛手となることが示すとおり、日韓の間にはハイテクや金融を中心に深い相互依存関係が存在する。

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