27歳でがんを告知された人に生じた心境の激変

「正直悔しい、でも感謝して精一杯生きたい」

すべての人にこの5つの変化すべてが起きるわけではないのですが、それぞれの人の考えの変化の内容を注意深く見ていくと、この5つのうちのいくつかに当てはまることが多いです。

この5つの変化について知ったことは、私自身の考え、生き方にも大きな影響を与えました。今自分がしがみついていることの中で、そのうち取るに足らなく見えるであろうことと、大切にしておかないと後々絶対に後悔するであろうことを、きちんと見分ける力が備わったように思います。

まず、5つの変化の中で、多くの人に最初に生じる変化が「人生に対する感謝」です。

がんになると、死を意識します。すると、「いつまで自分が生きられるんだろうか」という不安や恐れが生じますが、その裏返しとして、「実は今日一日を生きていることが当たり前のことではないんだ」という考えが出てきます。

人間は、希少であるものに価値を置く習性があります。貴金属のゴールドも、そこらへんに転がっていたら、誰も見向きもしなくなるでしょう。同じように、時間が永遠に続くと錯覚していると一日を粗末にしてしまいがちですが、時間が限られているとすると、一日一日がとても貴重に思えてくるわけです。

そして、「今日一日を生きられることに感謝したい」と思うようになる人もいます。 

「最悪のくじ」でも引かないよりは引いてよかった

岡田さんと2回目にお会いした時に、「病気になったことが悔しい。自分は病気になるまでは運がいい人間だと思っていたが、そうではない、最悪のくじを引いてしまったんだ」ということをおっしゃいました。

私は、「なるほど『最悪のくじ』、そういう例えもあるのか」と思って聴いていました。

私は自分の人生を恨んでいる岡田さんに対して、こんな言葉をかけてみました。「こんなことを言うと怒られるかもしれませんが」と前置きしたうえで、「あくまでも仮定の話ですが、くじを引かなかったほうがよかったですか」と尋ねました。

岡田さんは「は?」と私の言った意味がにわかに理解できなかったようでしたので、「つまり、病気になる人生だったら、生まれてこないほうがよかったですか、ということです」と補足しました。

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