映画化で浮かれた医師が挫折から立ち直れた訳 葉田甲太氏「僕を突き動かした単純なこと」

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カンボジアで女児を診察する医師の葉田氏(写真:(C)World Vision)
向井理さん初主演(葉田甲太役)で東映より映画化され話題になったノンフィクション小説『僕たちは世界を変えることができない。』の8年後――。医学生の時、みんなでカンボジアに建てた小学校に続き、医師になった葉田甲太氏は「新しい病院を建てる事」を実現すべく活動していました。それに至る経緯をつづった葉田氏の著書『僕たちはヒーローになれなかった。』をもとにお届けします。

僕たちが建設したサンブール保健センター(病院)は、カンボジアのバンティ・ミエンチャイ州にある。ここはタイの国境沿いで、世界遺産のプレアビヒア寺院が有名だ。

サンブール保健センターの入り口にはカンボジアと日本の国旗が並んでいる(写真:(C)World Vision)

カンボジアでは、毎年150名以上の妊産婦が亡くなっている。1990年から2015年にかけて、世界全体的では妊産婦の死亡数は約44%減少。

しかし、それでも毎日約830名の妊産婦が、予防可能な原因で命を落とし、その99%は、発展途上国で起こっている。この現状を少しでも打破できればと思い、僕は保健センターを建てた後も継続して支援している。

今思えば、この保健センターを建設するきっかけは、カンボジアで出会った1人のお母さん。建設するまでの現実は決して甘いものではなく、挫折ばかりだった。途中で諦めたり、恥ずかしい思いもたくさんした。それでも僕が前進できた理由は単純なことだった。

有名人になったみたいで、ただただ調子に乗っていた

そもそも僕は、ボランティアのことを偽善者みたいだと思っていた。だけど、大学2年生の時に「150万円あればカンボジアに小学校が建ちます」と書かれた1枚のパンフレットと出合い、ドキドキした。仲間を募って150万円を集め、小学校を建てたのだ。このことをつづった書籍は、向井理さん初主演で映画にもなった。俳優さんに会ったり、テレビやラジオなどたくさんのメディアからインタビューを受けたりもした。

自分が有名人になったように感じ、ただただ調子に乗っていた。社会人になってもちやほやされ、いつまでも調子に乗っていた。一方、目の前の仕事で精一杯になり、毎日、先輩に怒られていた。僕はただのクズな医者だった。

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