REIT復活のカギ握る公募増資とM&Aの成否、官民ファンド効果はほぼ出尽くし《特集・不動産/建設》
スタンダード&プアーズの老川由美・上席アナリストは、「今後の信用力の動向を見るうえで、一つの試金石は公募増資」と話す。「一部の大手REITは、増資へ動くタイミングを模索している段階。増資で調達した資金での、負債の返済によるレバレッジの低下や、競争力を持つ物件の購入による収益力の強化は、REITの信用力向上、ひいてはマーケットの安定化につながるだろう」(老川氏)。
資金調達しても購入する物件がなければ意味がない。不動産売買市場は目下、冷え切っている。「優良REITは資金調達できるが、必要なのは不動産。投資したい適格物件があるかどうかだ」(住信基礎研究所の河合延昭・REIT投資顧問部長)。今後は一部私募ファンドのデフォルト(債務不履行)案件を含めた売り物が、どんな条件で市場放出されるかも注目される。
優良REIT主導の再編で好循環作れるか
一方、M&Aについてはすでに動きが出ている。
9月24日、大和ハウス工業を主なスポンサーとするビ・ライフ投資法人の投資口価格が5万円高の42万4000円とストップ高を演じた。昨年10月に民事再生法適用を申請したニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)と来年4月に合併することで基本合意し、これを好感した買いが殺到したのだ。