REIT復活のカギ握る公募増資とM&Aの成否、官民ファンド効果はほぼ出尽くし《特集・不動産/建設》
オフィス空室率の上昇や賃料急落などから、REITは軒並み分配金見通しを下方修正している。業界最大手の日本ビルファンドの1口当たり分配金は、前期実績(09年6月期)の2万1775円に対し、今期(09年12月期)は1万8500円、来期(10年6月期)は1万6100円の予想。「内部成長」は弱含みが続く。
オフィス業界全般を見ると、解約予告(退去6カ月前)は今春にピークを打った後、減少傾向とされる。空室率は優良ビルから今秋にも最悪期を脱すといわれるが、最近はダウンタイム(空室期間)の長期化が懸念され、3カ月~1年以上のフリーレントを導入するケースも目立つ。昨今の円高・株安など、景気二番底懸念も頭をもたげている。住宅業界についても、景況感に大差はない。
つまり、内部成長は少なくとも来年半ばまでは期待しづらい。こういう状況で、今後REIT市場はどうやって浮上を図っていくのか。
カギは「外部成長」だ。公募増資で資金調達を行い、物件を取得して分配金を上げる。もしくは、吸収合併のM&A戦略で会社ごと物件を取得する。この二つの方法がある。
国内REIT市場での公募増資は08年度下期から完全にストップしているが、今春以降の投資口価格回復で環境は好転している。ジャパンリアルエステイト投資法人や森トラスト総合リート投資法人など大手REITの数銘柄はPBR(投資口価格純資産倍率)が1を超えてきており、1口当たり純資産額よりも高い価格での増資(プレミアム増資)が可能となっている。物件取得によって1口当たり分配金も上昇させやすい。