REIT復活のカギ握る公募増資とM&Aの成否、官民ファンド効果はほぼ出尽くし《特集・不動産/建設》
株式交換による合併なのでビ・ライフ側に増資の必要はなく、実質的に安く物件を吸収できることで分配金が増える。NCRの物件の質も全般的に悪くはないとされる。さらに、投資口価格が上がったことで、今後は増資する環境が整い、物件買収による外部成長も期待できる。
今年3月に破綻したパシフィックホールディングス傘下のREIT2社についても、すでに日本レジデンシャル投資法人は伊藤忠傘下のアドバンス・レジデンスとの合併で基本合意。残る日本コマーシャル投資法人も11月中にはスポンサーが決まる見通し。一部報道では、オリックス、丸紅、日本管財の3社が争っているもようだ。
再編推進に向けては、遅ればせながら制度の整備も進んできた。09年度税制改正では、合併で発生する「負ののれん代」を発生年度の配当可能利益から控除するなど、REIT同士の合併が行いやすくなった。
今後は、ジョイント・リート投資法人のスポンサー企業が、会社更生手続き中のジョイント・コーポレーションからどこに移るかも焦点。これも10月中には方向性が明確になると予想される。みずほ証券の石澤卓志・チーフ不動産アナリストはさらに今後の再編候補として「エルシーピー、FCレジデンシャル、ジャパン・シングルレジデンスなどの各投資法人がどう対応するかも注目される」と言う。
主導役はやはり財務体質の強固な大手REITだ。もちろん、吸収するREITの資産の質にもよるが、優良なREITやスポンサー企業が買い手となれば、REIT業界の健全性と資金調達力が高まり、投資口価格の上昇をもたらす。それが増資余力を高め、外部成長によって投資口価格が一段と上がる。そうした好循環に入れるかが市場復活のカギを握っている。
(週刊東洋経済)
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