ブルーボトル「1杯300円インスタント」出した訳

ネスレ傘下入り2年で初の「協業」

ただし金額ベースで見ると、少し違う風景が見えてくる。市場規模は328億円と前年比1%増と、数量ベース(同6%増)をかなり下回るのだ。業界関係者によると、近年は価格競争が厳しくなっており、中でもネスレが積極的に競争を牽引しているという。

スーパーやコンビニで販売しているスティックタイプと、ブルーボトルのスティックタイプでは商品内容や販売戦略などが大きく異なるため単純比較はできないものの、「ネスレとしては、高価格帯のスティックタイプを投入すると、どういう展開になるか見てみたいという思惑があるのではないか」(業界関係者)という見方もある。

粉状の状態(撮影:今祥雄)

ネスレとの協業としてもう1つ考えられるのが、缶コーヒーの製造委託である。ブルーボトルは現在、「コールドブリュー」という方法で抽出したアイスコーヒーを缶に入れて日本でも販売しているが、抽出やパッケージングはアメリカで行われており、これを輸入販売しているため価格が1本600円と高い(現地では3.99ドル)。

こうした中、現在ネスレジャパンと製造可能か協議中という。ある程度価格が下げられれば、一部のコンビニなど、従来以外の販路も探れると考えているようだ。ただ「日本ではブランド側が販路を選べる体制にない」(業界関係者)とあって、店舗とオンライン販売というのが現実的だろう。

旗艦店を大幅リニューアル

徐々に店舗以外で楽しめる商品を増やしているブルーボトルだが、店舗も少しずつ「変革」している。10月初旬には、旗艦店である清澄白河店をリニューアルオープン。もともと焙煎所を併設していたため、席数が8しかなかったが、焙煎所を別の場所へ移し、席数を47と大幅に拡大。ワークショップなどができる場所も設けるなど、カフェとしての機能をより充実させた。

リニューアルオープン当日の様子(ブルーボトルコーヒー提供)

従来は客がレジで注文をして商品を受け取っていたが、清澄白河店ではバリスタが客を席に案内し、注文をとるという喫茶店方式にしたほか、人気パティシェのアドバイスを仰いで独自開発したデザートも提供。世界初となる豆の量り売りも実施するなど、従来とは違う形に挑戦している。

日本上陸から4年半、ブルーボトルがここへきて旗艦店を大幅刷新する背景には、「多くの外資系飲食店のように単なる一過性のブームで終わるのではなく、コーヒー文化とコミュニティーを育成する道を探りたい」(アジア事業トップの井川沙紀氏)という考えがある。

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