ブルーボトル「1杯300円インスタント」出した訳 ネスレ傘下入り2年で初の「協業」
ミーハンCEOによると、ネスレがブルーボトルに開発を持ちかけたのは2年近く前にさかのぼる。「その時点でネスレのインスタントコーヒー開発技術は非常に高いものがあったが、それを実現するブランドがなかった」(ミーハンCEO)。その後、試行錯誤を重ね、ブルーボトル側が納得できる質のインスタントができあがった。
インスタントというと、カフェやコンビニで買うコーヒーよりは手軽ゆえに質が劣る、というイメージがあるが、今回ブルーボトルが目指すのは「300円以上の体験」である。実際、10月半ば店舗でお披露目された際も、バリスタがスティックをグラスに入れ、お湯を注いでかき混ぜるという一連の作業がうやうやしく行われた。
日本のインスタント市場の潜在性
1杯300円という価格についてミーハンCEOは、「私は旅行に行く際、いつもコーヒー豆と豆を挽く道具、ハンドドリップで入れるセットを持ち歩いている。それを考えると、そのクオリティーのコーヒーが300円で飲める意義は大きい」と話す。
「スペシャルティコーヒーが好きな人で、旅行やキャンプにコーヒーを淹れるセットを持っていくような人にとっては、その手間などを考えると300円はむしろ驚きの価格ではないか」。このほか、ギフトの需要もあると見ている。
ミーハンCEOによると、目下アメリカではサードウェーブ系が続々とインスタントコーヒーを発売しており、この流れもある。こうした中、同社は「日本は家やオフィスでインスタントを飲む習慣があり、インスタント市場としては大きい」(ミーハンCEO)としており、日本での様子を見てアメリカで販売するか見極めるようだ。
実際、スティックタイプのインスタントは日本でも数量ベースでは、市場規模が拡大している。インテージSRIの調べによると、年間20億900万杯と前年比6%拡大。大手がスティックタイプを出し始めた2010年と比べると、規模は2倍以上に膨らんでいる。
背景にあるのは、個食化の流れだ。かつてインスタントと言えば、瓶型が主流で「どの家庭にも瓶型のインスタントとミルクパウダーがあった」(日本インスタントコーヒー協会)。が、「夫婦に子ども2人」的な家庭が減る一方で、それぞれが好きなモノを飲食する傾向が強まったことでスティックタイプが徐々に主流に。現在は瓶や缶を含めたインスタント市場の3割近くを占めるようになった。
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