【40代:人的資本の活用期】
40代の人的資本戦略には、ポイントが2つある。
まず、自分が持っている人的資本の価値を有効に経済価値として実現することだ。人的資本のいわば「実現利回り」を上げるために行動する時期だ。
サラリーマンの場合、収入が増えて行く時期に該当する場合が多いだろうが、例えば、より好条件の会社への転職によって、「利回り」を上げることも考えたい。まだ歳を取ったという実感を持たないかも知れないが、「稼ぎやすい時期」である40代は、一年一年が貴重だ。
もう1つのポイントは、そろそろ「セカンドキャリア」について考え始めるべき年齢だということだ。
セカンドキャリアにあっては、仕事の能力と、自分の仕事を買ってくれる顧客、の2つの用意が必要だ。何れも時間が掛かる。目処を示すなら、「45歳」になったら、セカンドキャリアについて具体的に考えたい。
「60歳くらいから、自分は何をして、どのくらい稼ごうとするのか? 何歳まで働こうと思うのか?」といったことを具体的に自問するのだ。
50代は「転換期」、60代は「再出発期」
【50代:人的資本の転換期】
40代の時点で、ファーストキャリアの到達点(卑近な例では、今の会社でどこまで出世するか?)は既に見えている事が多いはずだ。そして、50代は引き続き、人的資本の経済価値を実現する時期でもある。ただし、もらえるお金をもらうだけで、漫然と過ごしていては心許ない。
50代は、概ね60歳以降に始まるはずのセカンドキャリアへの準備を具体的な行動に移すべき時期だ。
将来やりたいことによっては、士業の資格や博士号といった資格が必要であったり、何らかのスキル(例えば料理)の取得が必要であったりもするだろうし、セカンドキャリアの仕事をして行くための人間関係を作らなければならない。特に、新しい人間関係を作るために、自分時間と努力とお金を使うことを、将来の人的資本の価値への「投資」だと考えたい。
【60代:人的資本の再出発期】
60代は、セカンドキャリアが具体的にスタートする時期だ。スタートに当たっては、継続雇用など、会社の制度に依存して受動的にタイミングを決めるのではなく、仕事自体のチャンスや自分自身の諸々の都合といった「自分のタイミング」で行うことを心掛けたい。
準備の良し悪しによって「出来ること」の範囲は大きく異なるだろうが、人生は長いし、今の高齢者はかつての高齢者よりも元気だ。少なくとも可能性として、長く働く可能性を考えておきたい。
また、知識・スキルや人間関係をアップデートすることの外に、より元気で長く働けるということが、人的資本の価値増大につながるので、「健康」にも気を配りたい。さらに加齢に伴って、体力や判断力が落ちたり、病気になったりするリスクが高まる。自分をサポートしてくれる広義のパートナー(仕事仲間だったり、配偶者だったりする)を確保して、良い関係を築くことの重要性も指摘しておきたい。
筆者は、現在61歳だ。上記の心得を自ら実践して、機嫌良く働いて、人生を楽しむことが出来るように努力するつもりでいる(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)。
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