私の人生は「ワンマン」…鉄道缶バッジ誕生裏話

年間5000個販売「上司警戒」など思わずニヤリ

次から次へと新作が作られ、大井川鉄道を訪れるたびに新作がある、という状況だ。アイデアは食事中、電車を眺めるとき、用事で他社の電車に乗るときなど、思いついたときに覚えておく。

仲のよい乗務員と案を出し合うこともあるという。急行の標識を作ったけれど、他社には準急もある。準急を作ってもいいけど「ウチでは走ってない」と言っておきたい。「快速っていうけど、あんまり速くない路線もあるよね」など、ちょっと皮肉も。

「警戒シリーズは割と凝っていまして、 実際にある標識を写真に撮ってそれをプリントしてるんですね。 だからちょっと汚れた感じが出てるんですよ。パロディ版は白い文字だけ描き換えています。ひとつひとつ上司に許可を取りますから、"上司警戒"も上司に見せて。部長のことじゃないですから、なんて言いながら(笑)」

警戒シリーズ。両側がパロディ版だ(筆者撮影)

言われてみれば、私たちのまわりには警戒したいものがたくさんある。パソコンのエッチなゲームにも瞬時にビジネスソフト風の画面に切り替わる「ママが来た機能」があった。

「ある大学の学生さんから、学園祭でコラボしたいと依頼があって、"教授警戒""単位警戒""レポート警戒"を作りました。けっこう売れたと聞いています。一緒に当社のグッズも売ってもらって、いいPRになりました。実はそのときの学生さんのひとりが当社に入社してくれたんです。で、缶バッジになってます」

「警戒」シリーズのパロディ版が売れると、初期に作った元ネタ版も売れるようになった。

1個からでも作れる理由

大井川鉄道の缶バッジは、コネタから社員まで自由自在。多品種、小ロットだ。「ワンマン」は最初に50個作り、売れたので慌てて追加生産したという。思い立ったネタもすぐ作る。社員の顔のバッジも1個から。それができる理由はなんと「社内生産」だった。

社員シリーズ。シャレのつもりが合計100個以上も売れている。缶バッジ化された本人が「SLやまぐち号」に乗りに行ったとき、同じ撮影場所にいた人のカバンに付いていて慌てたという(筆者撮影)

「当社はもともと、SLの車両工場見学のお客様に、記念品として缶バッジを作って差し上げていました。その頃から自前の機械を持っていたんです。だから1個から作れます。私だけではなく、売店の店員さんも作れます。SL列車が11時52分に新金谷駅を出ていくと、千頭から戻ってくるまで3時間くらいあるので、休憩時間以外の手の空いたときに」

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