本日開業「スクランブルスクエア」は誰が行く?

若者の街から大人・ビジネスの街にシフト

渋谷は1970年代から今日まで「若者のまち」と言われ、日本の消費文化をリードする場所として捉えられてきた。その中で「渋カジ」や「渋谷系」といった言葉、ギャルやチーマーといった存在が渋谷というまちと共にピックアップされてきた。近年はハロウィーンをはじめ、お祭り騒ぎのイベントがあればスクランブル交差点に多くの人が集まる。

対して東急が主導する渋谷駅周辺の再開発は、渋谷を今後「若者文化に代表される消費文化のまち」から「クリエイティブ業界に代表されるビジネスのまち」に転換しようとしている。

かつて東急は多摩田園都市において住宅地開発を行い、交通や商業施設など、さまざまな形で住民の暮らしを東急グループの企業が担うことで「囲い込み」を行った。

そして、現在の渋谷再開発でターゲットとなるのは、クリエイティブ産業の中でもIT企業に代表される最先端の企業に属し、収入も多く、生活にお金をかけるオフィスワーカー達だ。彼らに渋谷を生活の中心に据えてもらい、囲い込むことで東急グループの中核であるターミナル「渋谷」の都市運営を盤石にしようとしている。

課題はソフト面の充実

課題はソフト面の施策だ。東急の執行役員で、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント代表理事の東浦亮典氏は、スクランブルスクエア東棟と同じく11月1日に供用開始する東口地下広場のオープニングセレモニーで「ハードがすばらしくてもそれだけでは片手落ちだ。ソフトも充実させなくてはならない」と述べた。

確かに、再開発で建物をいたずらに建ててもまちの個性が生まれるわけではない。また、1970年代から今日まで続く「若者のまち」のイメージと消費文化を保っていくことも、クリエイティブ産業を渋谷に引きつけるには重要だ。今後「109」や公園通り、センター街など消費文化の象徴である場所に対する施策も必要だろう。

東急はハコをしつらえた以上、渋谷の魅力を保つまちの運営に挑まなければならない。そしていかに渋谷の魅力を保っていけるかどうかが、今後の東急による渋谷関係の施策にとって最も重要なものとなる。今後、どのようなソフト面の取り組みが東急あるいはエリアマネジメント団体によりなされていくか。これから渋谷のまちを見る際に注目していきたいところだ。

2027年度まで続く渋谷駅の再開発事業。今回、高さ230mの渋谷スクランブルスクエア東棟がシンボリックな意味をまとって開業し、大きな節目を迎える。これが渋谷のまちにとって変化のシンボルとなるか。それは今後、東急が中心となって行うソフト面の施策にかかっている。

【2019年11月1日15時30分追記】初出時、渋谷スクランブル東棟の高さが誤っていたため、修正しました。

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