MBA講師が教える「騙されやすい」数字の罠 「ランキング」「平均値」は信用できないのか?
●プライマーの罠――先行情報に気をつけろ
プライマーとは先行情報のことです。実は、このプライマーを自分に都合のいいように与えることで、人々の言動をある程度コントロールできることがあります。このような影響をプライミング効果といいます。
例えばあなたが何かしらの理由である事業の見込み成長率を高いものにしたいと思ったとします。そこで、社内関係者にヒアリングするに当たって、冒頭に以下のような前振りをいれたとします。
「アメリカで類似事業をしているA社は3年で20倍に成長しました。日本のB社は15倍です」
そのうえで、「うちは3年で何倍の成長ができそうですか?」と聞くのです。A社やB社は業界の中でも成功企業とします。
先入観を与えてから答えさせると…
すると、質問に答える人々はこのプライマーに引きずられ、高めの数字を答えてしまいます。その数字を基に「社内でヒアリングした結果、3年で○○倍という良好な予測が出ました」などと説得に用いることができるのです。
逆に、低い数字を答えさせたければ、先行情報として低い数字や、数字でなくとも悲観的な情報を流せばいいのです。
より身近な例でいえば、軽自動車を普通自動車に買い替えたいのに夫や妻が反対している場合、軽自動車の重大事故の情報を日常生活でさりげなく吹き込んでいくと、相手は「軽だと事故のときに危ないかな」と考えるようになる可能性が高まり、自分の希望が通りやすくなるのです。
人間はまったく予見なく物事を考えたり行動することはできません。そこに付け入る隙が生じているのです。あなたの同僚が持ってきた調査数字も、そうしたトリックの結果かもしれないのです。
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