風景撮影「ここまでやったら犯罪」意外な境界線 アンケートで続々と集まる「怒りの声」
<三平弁護士の見解>
占有場所が商業施設や公道であれば、法律違反になる可能性があります。例えば、植物園などの商業施設は来場者から入園料をもらって観覧させているので、占有によって他の入場者の妨害をしたと判断されれば「威力業務妨害」となります。
また、正当な理由なく、車道や歩道に物を置いて交通の妨げとなっていれば「道路交通法違反」にあたります。道路に三脚を立てる行為もこれに該当する可能性があります。ただ、どこまでが「正当な理由」として許容されるかの統一見解はなく、当局の判断によります。
また「どけ」などの暴言にも注意が必要です。「どかなかったから殴るぞ」など暴力の宣言があると「脅迫罪」や「強要罪」となります。暴言は許されないと考えておくべきです。
◆威力業務妨害罪
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
◆道路交通法違反
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
◆脅迫罪(暴言)
2年以下の懲役または30万円以下の罰金
◆強要罪(暴言)
3年以下の懲役
禁止区域への侵入
私有地など立ち入り禁止区域に侵入するマナー違反者も多く目撃されている。
規制ロープの内側に入り込んで三脚を立てる、民家の農地にずかずかと入り込んで畑を荒らす、木や塀によじ登っての撮影など、枚挙にいとまがない。
中には「先生」と呼ばれる立場の人が生徒を禁止区域に誘導することもあるという。神奈川県に住む写真家の男性Aさん(58)はこう話す。
「2年ほど前、東京の新宿御苑で写真教室の講師と思われる60代後半くらいの男性が7、8人の生徒を引き連れていました。
公園内の池には立ち入り禁止のロープが張ってあるのですが、ちょうど水面に太陽が映り込む時間帯で、近づいたほうがいい写真が撮れそうでした。
すると、講師の男性は平然と『はい、こっち』と生徒たちをロープの内側に誘導。『この角度で撮るといいですよ』などと教えていました。先生自身がこれでは写真界全体のマナー向上など図れるはずがありません」