パナソニック、津賀社長が進める「譲位」の準備

異例の役員人事に、深刻さ増す「収益柱」探し

現在、その候補者として名前が挙がるのは、社内カンパニーの1つ、中国・北東アジア社トップの本間哲朗氏(57歳)、車載事業のオートモーティブ社トップの楠見雄規氏(54歳)、家電事業のアプライアンス社トップの品田正弘氏(53歳)などだが、「(この3人を含めて)候補は最少で5人いる」(津賀社長)という。

では、社長交替の「Xデー」はいつなのか。パナソニックの社内では、来年4月に津賀社長が身を引くのでは、という観測が高まっている。

軌道に乗らないテスラ事業

2012年に社長に就任して以来、津賀社長はプラズマテレビの敗戦処理を行い、家電の会社から、BtoBの車載事業へと軸足をシフトすることで会社の再生を進めてきた。その一丁目一番地が、アメリカのEVメーカー、テスラとの協業だ。同社とパナソニックが共同で運営する電池工場「ギガファクトリー」には、20億ドル(約2170億円)の巨額投資もした。

10月23日、試験運転をはじめた上海のギガファクトリー。EVに搭載される電池は、韓国LGが供給しているとみられる(写真:テスラ)

だが、テスラ側の生産遅延やライン立ち上げのための人件費負担などにより、2017年1月に工場が稼働して以来、テスラ向け電池事業は通期で赤字が続いている。今年5月に発表した2019~2021年度の新中期戦略では、これまで高成長事業に位置づけられていた車載が、「再挑戦事業」に格下げされた。

中核的な事業に復活するためには、2021年度までに5%の営業利益率を出す必要がある(2018年度末で1%弱)。一方で、事業のやり方をもの売りからサービス軸にシフトし、津賀社長が「くらしアップーデート業」と称す、オフィス内の空間設計や物流や工場内の省人化などを事業として育成していく。

その具体的な戦略は、今年5月から延期になっていた11月のIRデーで公表される予定だ。この難しい改革の遂行を担うのは、津賀社長の後任となる可能性が高い。

そもそも社内では、「(車載事業の成長といった)2013年にやると言ったことができていないのであれば、経営は責任を取らないと」(ある幹部)という見方もある。元来、権力欲が強いタイプではない津賀社長自身ゆえ、ここまでの長期政権は想定外のこと。

ただ、「やめたいと言っても、『元気なうちはやめないでくれ』、と(指名報酬委員会から)去年言われた。後継者を育成しているから、ではさようなら、というわけにはいかない」(津賀社長)と、引くに引けない状況であることを明かす。まだやり残したことがあるからだ。

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