鉄道4社、ソラシドエアと「異業種コラボ」の狙い 「ドレミファ」京急、西武、京成、東急が参加

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ソラシドエアはこれまでにも独自性のある企画で話題を呼んできた。2015年夏の長崎―羽田線の10周年を記念したキャンペーンは、長崎名物をモチーフにした「角煮まんじゅう寝袋」を抽選で10人にプレゼントするという内容で注目を集めた。見た目の奇抜さだけでなく、寝袋としてはマイナス30度の極寒にも耐えられるという実用的なものだ。

2015年の「角煮まんじゅう寝袋」の企画はかなりの反響があったという(画像:ソラシドエア)
寝袋以外にもさまざまな使い方ができる?(画像:ソラシドエア)

同社の広報担当者は「特にSNSでの反響が大きかった」と当時の手応えを振り返る。「少数で営業の企画を担当しているため、若手のユニークな発想も採用されやすい」という。翌年には4月に発生した熊本地震の復興支援の一環で、熊本名物カラシれんこんを再現した「ジャンボカラシれんこんクッション」が当たるキャンペーンを実施している。大手エアラインでは実現が難しいアイデアでも柔軟に具体化できるのが同社の強みだ。

機体を活用したPRにも慣れている。九州・沖縄の自治体と連携し、機体側面に地域名とご当地キャラクターなどをデザインする「空恋プロジェクト」を展開。機内シートポケットに広報誌を置くなどして情報発信に協力する。これまでに大分県国東市や鹿児島県いちき串木野市、沖縄県宜野座村など、20機以上の「空恋機」を運航した実績がある。

空と鉄道のハーモニー

ソラシドエアの名称には音階の「ドレミファソラシド」とかけて、「上昇するイメージ、弾むような楽しさ、親しみやすさ」の意味を込めたそうだ。

音階と言えば、京急もかつて「歌う電車」と呼ばれた「ドレミファインバーター」が有名だった(現時点では1編成8両しか残っていない)。首都圏の私鉄とは意外と相性がよく、美しいハーモニーを奏でるかもしれない。

今回のキャンペーンについて、ソラシドエアの西尾取締役は「鉄道ファンや航空ファンがクロスオーバーするように、それぞれの魅力をアピールしたい」と語る。

だが、コンプリート特典を手に入れるには、離れた4駅を回り、かつ飛行機にも搭乗しなければならず、難易度が高い。ソラシドエアが私鉄4社と出したファンへの挑戦状は、同社が首都圏での知名度向上にかける本気度の表れとも言えそうだ。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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