「うまかっちゃん」が九州人の定番となった理由 適度なとんこつ味、「マルタイ」派も
以前から「九州での強さ」を耳にしていたが、筆者は一昨年、大分県から愛知県に転勤した40代の男性会社員(福岡県出身)の次の言葉を聞き、一段と興味を持った。
「愛知では、あまり『うまかっちゃん』が売られていないので、定期的に福岡の実家から送ってもらっています」
学生や20代ではなく、40代の社会人も魅了するソウルフードなのだなと再認識した。
味を変えない「定番」と、細分化した「地域風味」
「味の特徴は、スープも主張しすぎず何にでも合わせやすいことです。定番のネギ、紅しょうが、ゴマや、さまざまな具材を入れても楽しめます。実は40年前の発売時から、定番品の味はまったく変えていません。当社商品の中でも珍しい例です」
こう話す安達氏は、九州はもともと「とんこつ味」の文化で、うまかっちゃんもそうだが、ブランドのスタンスは一線を画していると言う。
「最近は、とんこつラーメンも多様化してきましたが、消費者がお店で食べるとんこつ味と、うまかっちゃんに求める味は少し違うと思います。あくまでも『おうちで作ってもらう味』で、『うまかっちゃんは、うまかっちゃん』だと思われるのが理想です」(同)
とはいえ、各地で異なる好みの味や消費者意識の変化を見据え、シリーズ展開は積極的だ。
例えば、「うまかっちゃん〈熊本 香ばしにんにく風味〉」、「同〈博多 からし高菜風味〉」「同〈久留米風コクとんこつ〉」、「同〈黒豚とんこつ 鹿児島 焦がしねぎ風味〉」といった地域色豊かな商品もある。かつては「宮崎名物 鶏の炭火焼風味」も出した(現在は販売終了)。
「最も人気が高いのは定番品で、2位の『からし高菜風味』の7倍売れます。一方で『違う味も食べたい』消費者心理もあります。熊本では、ガーリックチップが人気で、鹿児島なら、ネギを多く使用する。地域性や時代性を見据えて新しい味も出してきました」(安達氏)
1998年からは、ほぼ毎年、期間限定品や新商品を出しており、長崎県を意識した「うまか皿うどん」など、成功しなかった商品も多くある。ちなみに沖縄県は「沖縄そばの文化で、当ブランドは強くない」という。各地域と向き合いながら “地元に寄り添う姿勢”も支持を集めるのだろう。
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