「うまかっちゃん」が九州人の定番となった理由 適度なとんこつ味、「マルタイ」派も

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人気食品とはいえ嗜好品なので、うまかっちゃんを食べない人もいる。筆者の別のメディアの担当編集者(1991年生まれの福岡県出身の女性)は、こう話す。

「ウチの家庭は、棒ラーメンで知られる『マルタイ』が定番でした。うまかっちゃんはあまり食べていません。マルタイは棒状だけでなく、カップめんや皿うどんなども手がけており、周りの友人・知人を見てもマルタイ派は多いと思いますよ」

「味のマルタイ」を掲げるマルタイ(本社・福岡市)は、1959(昭和34)年に「即席マルタイラーメン」(即席棒状ラーメン)を発売した。翌1960年に五木食品(本社・熊本市)が「アベックラーメン」(同)を発売し、高度成長期に棒ラーメンは九州各地で定着した。

うまかっちゃんには、棒ラーメンもカップめんもない。袋めんだけで勝負している。

九州場所力士が好む「5かっちゃん」

今年も11月10日から大相撲九州場所が開催予定だ。九州場所でご当地入りする相撲取りの間でも「うまかっちゃん」は人気だ。ある部屋では、力士の食事「ちゃんこ」のシメに使われる。部屋では5袋を入れることを「5かっちゃん」と呼ばれており、最後のシメにこれを入れて、おいしそうに食べるという。

一般人が2袋同時に食べるのは「2かっちゃん」と呼ばれることもある。こうした異名がつくのも、ロングセラーブランドが消費者に親しまれているからだろう。

最後に安達氏に、ブランドとしての「未来像」を聞いた。

「CMのセリフにもある『九州いうたら、うまかっちゃん』となれるよう存在を深めたい。例えば、広島県の人がソウルフードのお好み焼きを『広島風お好み焼き』と言わないように、当たり前にある定番品になりたいのです。これからも九州の人たちと向き合いながら、愛されるブランドを目指していきます」

人気が出て、もてはやされると、「さらなる拡大」という思いがちらつく。そうした雑念は、40年前の草むしりのように抜きながら、ブランドの土壌を耕す意識のようだ。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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