ネットに激増している「幼児の性的虐待」の実態 虐待画像や映像の数は過去最高に
捜査を担当したのは、ユタ州検事総長事務局のジェシカ・ファーンズワースが率いる捜査チーム。同チームは今年に入ってこれまでに、州内で同様の強制捜査を約150件も行っている。ファーンズワースのチームのように特別の訓練を受けた捜査チームは全米で61あり、子どもを標的としたネット犯罪に対応している。
ユタ州の捜査チームは、今年の逮捕者数は去年の2倍近くになるとみている。だが連邦政府からの予算はそれに見合ったものではない。2010〜2018年に関連情報は400%以上増えたのに、連邦政府の資料によれば、この間に61の捜査チームに拠出された予算はほぼ横ばいだった。
「非道さ」に向き合いたくない
連邦政府からの予算は主に、新しい捜査担当者の訓練に充てられる。捜査は感情的にも心理的にも非常に負担が大きく、やめる人が後を絶たないからだ。仕事量の多さゆえに捜査チームは厳しい選択を余儀なくされている。被害者が最も幼く弱い事件にリソースを集中させているところもあれば、おとり捜査を減らしているところもある。
インターネットはヘイトスピーチやテロ関連のコンテンツ、犯罪活動の温床としてよく知られている。このことが人々の懸念を高め、公の議論や行動を促進することになった。それでも子どもの性的虐待の問題があまり関心を集めないのは、そうしたコンテンツの非道さや恐ろしさに向き合うのを嫌がる人が少数ながらいるからだ。
捜査関係者や被害者への取材によれば、州議会議員や裁判官、連邦議会議員らの中には、この問題について細かく議論するのを拒んだり、会合や公聴会に出席しようとしない人もいるという。
司法省で児童搾取・わいせつ物の担当部署を率いるスティーブン・グロッキに言わせれば、問題に向き合おうとしないのは社会全体の問題だ。「鏡に映る世界があまりに醜くて顔を背けてしまっている」と彼は言う。
こうした映像はしばしば「児童ポルノ」と定義される。だが専門家は犯罪の重大さを強調し、成人ポルノと十把一絡げにされることを防ぐため、「児童の性的虐待映像」とか「児童搾取もの」といった言葉を好んで使う。
「どの画像でも、映っているのはまさに進行中の犯罪だ」と語るのは、カンザス州の捜査チームを率いるジェフ・スワンソン巡査部長だ。「この子らに向けられた暴力は想像を絶する」。
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