ケンタッキーと大戸屋、「増税で混乱」の事情 テイクアウトは急増するが店内飲食客は激減

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価格設定をめぐっては、「ごはん処大戸屋」(大戸屋ホールディングス)が10月1日にグランドメニューを改定し、一部メニューで税込み価格の据え置きや値下げに踏み切った。

大戸屋は消費増税に合わせて値下げに踏み切ったが、顧客への浸透度は今ひとつだ(記者撮影)

ところが、こちらも十分には認知されていないようだ。10月1日昼に三鷹南口店(東京・三鷹)に来店した77歳の男性は、この日復活したかつての人気メニュー「大戸屋ランチ」を注文した。だが、「値下げしていたことには気づかなかった」(男性)と驚いた。

レジ対応で戸惑う企業も少なくない。増税に伴い、大戸屋ホールディングスでは9月30日の夜11時ごろからレジのソフトウエアを更新するためのデータを本部から各店舗のシステムに送信した。だが、沖縄の石垣島、宮古島の店舗で台風による停電があり、更新が遅れるトラブルがあった。

軽減税率廃止を求める声も

JFの髙岡会長が社長を務めるすき焼き・しゃぶしゃぶの「人形町今半」でも「レジが止まってしまった」(髙岡社長)という。レジが復旧したのは3日の昼で、それまで店員が手計算での会計に追われた。

消費増税だけにとどまらず、軽減税率とそれにともなう価格設定に外食各社は頭を悩ませた。店内飲食か持ち帰りかによって価格が2%変わることが、これほど大きく消費者の行動を変えるとまでは予想できなかったようだ。

「イートインかテイクアウトか、食べるシーンによって税率を分けるのは無理がある」とJFの髙岡会長は強調する。あるカフェチェーンの幹部も、「この際、軽減税率をなくして税率を1つにまとめてほしい」と力を込める。

低所得層への配慮から軽減税率が導入され、キャッシュレス決済の普及を目的としてポイント還元も制度化された。だが、こういった措置はかえって外食産業の混乱を招いてしまった。軽減税率については、いったん立ち止まり、冷静になってその是非を議論するべきだろう。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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