「大学の貧困」が「国難」につながる深い理由

「科学立国危機」に文科省が行うべき改革とは

日本の大学総体としての研究力は劣化を続け、世界大学ランキングでの評価でも下降に歯止めがかかりません。いま日本の大学で何が起こっているのでしょうか?(写真:Mugimaki/PIXTA)
科学立国を支える1番の研究機関は、なんと言っても「大学」です。その大学が過去に例をみないほどの窮地に陥っています。
前回前々回に続いて、近著『科学者が消える ノーベル賞を取れなくなる日本』を上梓した岩本宣明氏が、いま日本の大学で何が起こっているかについて明らかにします。

毎年、減額される運営交付金

言うまでもなく、日本の科学の屋台骨を支えているのは大学です。科学技術関連論文の75%は「大学発」の論文です。その大学の研究現場は惨憺(さんたん)たる状況で、一言で表現すると、「貧乏暇なし」という状況に追い込まれています。

『科学者が消える ノーベル賞が取れなくなる日本』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

大学の収入源は国公立と私立で大きく違いますが、国公立の場合、大学運営費交付金が大きな比率を占めています。大規模総合大学や医学部のある地方国立大学で総収入の3割前後、医学部のない国立大学では半分近くを占めます。

運営費交付金の使途は個々の大学の裁量に任されることになっていますが、細かな違いはあっても、ほとんどの大学では教職員の人件費と教員や研究室に分配される基盤的な研究費(内部研究費)に使っています。

この運営費交付金は2004年の国立大学法人化以降、毎年1%ずつ減額され続けてきました。2004年から16年の12年間で、総額1兆2415億円から1兆971億円となりました。額面で1444億円、割合で12%の減額です。これが、多くの国立大学を「貧乏」に貶めた主因です。

国立大学法人化は、国の内部機関だった国立大学を国から独立した法人とすることで、それぞれの大学の裁量を大幅に拡大し、自律的・自主的に個性豊かな大学へと変革するための政策のはずでした。そして、「裁量の大幅な拡大」と引き換えに行われたのが、運営費交付金の削減です。

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