メガバンクに迫る資本規制強化の大波
現在検討されている金融規制の議論は、欧米の市場構造を前提に危機が発生したという反省に立っている。一方、日本の金融機関は圧倒的な預金超過という特殊な構造を抱えているため、国際的な規制強化が、海外勢とは違う形で影響を及ぼすことになってしまう。
欧米の金融機関が貸し出し超過で収益力があるのに対し、邦銀の大きな問題点はオーバーバンキングのために収益性が低いことである。「予想されるデフォルト率に見合うだけの金利が取れていないため、日本の資産は健全で、資本は相対的に少なくてもよいという理屈は証明しづらい」(UBS証券の大槻奈那シニアアナリスト)。
収益性が低いことから剰余金があまり積み上がらず、金融危機が発生すると赤字化することの繰り返し。新規制で普通株増資を余儀なくされると資本コストがかさみ、さらに儲からなくなるという悪循環に陥る。再編によってある程度の経費削減は可能だが、預金超過で利ザヤが極端に低い状態にあるかぎり、抜本的解決はなされない。自己資本の「質」の改善はいずれ必要だが、「量」の過度な強化を求められると、メガバンクをはじめとする日本の金融機関は収益の低下がさらに進み、金融システムの安定化に逆行する懸念もある。
(大崎明子 =週刊東洋経済)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら