メガバンクに迫る資本規制強化の大波

にもかかわらず、ピッツバーグ・サミットの首脳声明では「2010年末までにルールを策定し、実施は12年末までを目標に金融情勢が改善し景気回復が確実になった時点で段階的に」と導入スケジュールを明記した。その背景には、「早い景気回復や金融システムの安定化を強調することで、公的資金が返済されるとの安心感を出したい欧米政府の意向の表れ」(メガバンク幹部)という政治的な側面があると見てよい。しかし現実は、景気の回復が遅れて導入時期が後ろ倒しになりかねない。

低収益に資本コスト負担 コスト倒れに陥る懸念も

日本の金融機関にとってもう一つ憂慮される資本規制は、補完的な指標としてのレバレッジ比率(自己資本に対する負債の倍率)導入である。

欧米の金融機関やヘッジファンドなどの運用主体は、ROE(資本に対する利益率)を引き上げるために、市場からレポ取引やCPで短期資金を調達し、長期資産で運用することによる長短金利差とレバレッジで利益を上げてきた。そのため、流動性危機に脆弱な構造をつくったとの反省がある。

日本の場合、金融機関が積極的にレバレッジを利かせているわけではない。負債として預金が集まることで結果的にバランスシートが膨らみ、レバレッジ比率が高まってしまう構図だ。「市場調達と異なり預金の安定性について、各国当局の間でも一定の理解を得ているものの、単純な数値目標を導入されることがないように警戒する必要がある」(メガバンク幹部)との懸念の声が聞かれる。

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