ゴルフクラブ「ゼクシオ」20年目で大刷新の理由 性能異なる2機種を展開、ブランドロゴも一新

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11月から販売するゼクシオのゴルフボール。ゴルフクラブと同様に、「エックス」(上写真)と「イレブン」という2モデルをラインナップした(編集部撮影)

ゼクシオにとってもう1つの課題が海外開拓だ。7代目を出した2011年に29%だったゼクシオの海外売上比率は、2018年に48%まで上昇している。2014年からは世界最大のゴルフマーケットであるアメリカに本格参入し、北米の比率は2018年に9%まで拡大した。

アメリカはドライバーで299ドル、399ドル、499ドルの3つの価格帯が中心。ゼクシオは約650ドルと約3割高いが、こだわりゴルファーを中心に少しずつファンを増やしている。ゴルファーの高齢化はアメリカも日本と同様のため、まだ開拓余地がある。とはいえ、価格を考えると急成長は期待できない。

日本メーカーの最後の砦を守れるのか

海外販売の拡大には逆風も吹く。実は日本以外でゼクシオが最も売れるのは韓国で、グローバル全体に占める売上比率は28%もある。その韓国では反日ムードが高まり、一部の日本製品はボイコットにあっている。

「(ゼクシオに関しては)大きな減少ではないが、影響はある。大変気になるところだ」(川松英明スポーツ事業本部長)

ブリヂストンやミズノ、ヤマハといった日本のゴルフメーカーはどこも苦戦している。その中で最も健闘しているのが住友ゴムだ。その象徴といえるゼクシオ。20年目を迎える王者の挑戦は、日本のゴルフメーカーの生き残りをかけた戦いになるかもしれない。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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