MBA経営代表・山田修(Part3)--製造効率の1%改善が難しくても、製造効率3割改善はできちゃう

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 よく聞く話ですが、製造効率の1%改善が難しくても、製造効率3割改善はできちゃう場合があるんですよ。担当者レベルではなくトップダウンでとんでもないことを実行するのが、トップがやり方を変えるということなのです。

--その後2社はキッチンハウスとトーラスという日本企業ですね。

はい、キッチンハウスから日本の会社です。バイアウトファンドから、買収した会社への派遣経営者として行ってくださいと依頼されました。買ってしまった企業を上場させるか再売却(エグジット)しなければいけないのですが、彼らにとってはできるだけ早いタイミングで高く売り抜けられればそれに越したことはないんです。幸いキッチンハウスは2年後に無事に売却ができました。

--6社すべてで結果を出すにあたり、MBAの理論などは生かされているのでしょうか。

MBAに関する経営論の著書もいくつか出していますが、おそらく私の理論は、財務分析だけから合理性を持ってくる本来のMBAマネジメントとは異なると思います。そもそも私は国文学出身。著書の中の一冊は小説ですからね(笑)。結局、戦略も判断力などすべての思考は言語でやるじゃないですか。日本語という言語を使い回す訓練をされてきているので、政治経済出身のマネジメントとは大きく違うんです。私がいちばん重要視しているのは、組織戦略なんですよ。とにかく社長は一人では何もできません。会社全体の組織をいかに組み合わせるかが大切です。

「企業はヒトなり」というのはウソですよ。たとえば、ミードではリストラをしていませんから、同じ商品と同じ従業員でやってこれだけ利益が違ったんです。企業はヒトだけじゃなく組織戦略が重要だということがわかりますよね。「ヒト」、それぞれの人に何をしてもらうかという「ジョブスペック」、ヒトやセクションなどの「組み合わせ」という組織の3要素をセットし、モチベーションを演出するのが経営者の役目だと考えています。

--当初は、社長になることも視野に入れてMBA取得に挑まれたのですか。

そもそも社長になるつもりはまったくなかったんです。社長はつらいですよ。いろいろ勉強してきたのは、自己満足や自己達成が動機ですね。自分が関連している業務をきちんとやりたいという思いからです。

最初はメシを食うためだけど、だんだんいいものを作りたいと思うようになる職人と一緒で、知らないものを知りたいという気持ちで勉強してきました。他の人より判断力を向上させたい、腕を磨いていたいという思いがあります。

(写真:梅谷秀司)

やまだ・おさむ
 1949年生まれ。学習院大学・大学院修士卒(国文学)。 サンダーバード国際経営大学院MBA、元同校准教授及び元日本同窓会長。20年以上に渡り外資4社及び日系2社で経営専門家として社長職を歴任。不調業績をすべて回復させるなどして「再建請負経営者」と評された。フィリップス社長在任中に経営学博士課程を修了し「MBA社長」の異名も。「売れる仕組みと儲かる仕組みの構築」を早くから提唱、組織戦略とコミュニケーションを重視している。ブログ「戦略経営 山田修」を執筆。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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