■ CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。
--職人のような気持ちで勉強をされてきたという山田さんですが、本当に多彩な学歴ですね。
学習院で国文学を専攻し、修士課程を修了しています。修士2年目以降からは働きながら勉強を続けました。25歳から日米会話学院の国際関係学院に4年半通って国際ビジネス論の専攻で修士課程を修了。次に青山学院の社会人大学院でマーケティングを専攻しましたが、30代始めにサンダーバード国際経営大学院への留学が決まって中退しました。サンダーバードでは戦略論を専攻し、MBAを取得。47~49歳までは法政大学で国際経営比較を専攻して博士課程を修了しています。5つの大学院を出ていますので、日本でいちばん経営学を学んできた経営者かもしれません。ビジネスのほうは14の社歴があります。
--経営トップとして、ここだけは譲れないというところはありますか。
いちばん重要なことは、結果を出すこと。責任がありますからね。トップの給料は当たり前だけど他の誰よりも高い。いちばん高い給料をもらっているだけのことはしなければいけないという美学は持っています。他の人がやるよりも私がやったほうがうまくやれるでしょう、というところを見せたい気持ちもありますね。
--お一人で古参の方々がいる組織に入って企業統治をするポイントはなんでしょう。
コミュニケーションの一言ですね。いかに早く社内コミュニケーションを確立するか、信頼関係を作り上げるかということです。
企業には、社長、経営幹部、中間管理職、一般社員というヒエラルキーがあるので、新任の社長としては上から順番にしっかり掌握しなければいけません。仮に経営会議のメンバーが8人いたとします。まず2人をクビか降格にするんですね。みんな優秀でも差はあります。次に1人か2人、心を許し、腹を割って話すことができる「同士幹部」を見つけます。「権威」と「信頼」の同時確立をするわけです。そして半年以内には部長職のプロパーを執行役員や役員のいちばん下などに昇格させ、全社に対してプロパーを育てますというメッセージを送るんです。このように経営チームを固めたあと、中間管理職や一般社員をいじることにしています。