MBA経営代表・山田修(Part3)--製造効率の1%改善が難しくても、製造効率3割改善はできちゃう

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MBA経営代表・山田修(Part3)--製造効率の1%改善が難しくても、製造効率3割改善はできちゃう

■ CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。

--社長として4社目のミードウエストベーコ社(以下、ミード)でも、成果を上げておられます。99年上期は5億3000万円もの赤字があったのに、下期に山田さんが着任した途端、利益が出ています。 

57億円から40億円まで落ちていた売り上げも、最終的には50億円超まで回復していますし、01年、02年は経常利益率8%と安定した業績で推移しています。たった2年間で赤字会社を優良会社に変えてしまった策はどんなものだったのでしょう。

ミード本社はフォーチュン500に選ばれており、1兆円のグローバル企業です。日本から撤退しないという意志があるからこそ、こんな赤字でも維持し続けたのでしょうけれど、独立系の会社であればとっくに潰れています。私はいつも売り上げより利益を重視しますが、本社からも売り上げの改善より利益の改善をしてほしいという強い要望がありました。

ミードは、紙を輸入して飲料マルチパックを製造・納品している会社です。商品が単一なので、顧客の“選択と集中”を行いました。150社の飲料メーカーが顧客だったのですが、こちらから見てA評価の顧客が5社、B評価が25社、C評価が120社ありました。着任して早々に「誰もC顧客のところへは行くな、注文は電話をもらってとりなさい」とう指令を出したんです。

さらに、包装機械を顧客の会社に置かせてもらっていたのですが、保守点検のエンジニアにも「行くな」と言いました(笑)。機械が壊れたら外部のメンテナンス業者を紹介し、その修理代を顧客に払ってもらうようにしたら、半年くらいでC顧客の3分の1はいなくなりましたね。競合会社に乗り換える顧客もいましたが、私からすると競合会社にババを引いてもらって痛みを与えたようなものです。重要なのは、C顧客に向けていた経営リソースをA顧客とB顧客に均等に割り振ったのではなく、A顧客だけに向けたこと。Aの顧客満足度は上がり、短期間で利益改善ができました。やはりこうした利益管理が伴う荒治療は営業レベルではできません。

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