台風19号が10月だからこそ厳重警戒が必要な訳 日本直撃、史上最強クラスで関東上陸のおそれ

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「2℃の違いなんて大したことない」と思われるかもしれませんが、水温と気温では事情が異なります。空気に比べて水は比熱(=1グラムの物質を1℃上昇させるために必要な熱量)が大きいため、海面水温は気温よりも温度の変化が起こりにくいのです。

同じ2℃でも、海面水温が平年より2℃高いことは、気温が2℃高いことよりずっと大きな差だと捉えてください。

記録的な暴風を引き起こした台風15号を振り返ると、日本付近の高い海面水温によって発達しながら非常に強い勢力で関東に接近、千葉市に上陸したときにも強い勢力でした。

台風19号も、現在の猛烈な勢力よりは弱まるものの、非常に強い勢力で日本列島に接近するおそれがあります。上陸前に予想される中心気圧は950hPa前後です。台風15号が千葉市に上陸したときの中心気圧は960hPa(速報値)なので、それと同等あるいは上回る勢力で上陸するかもしれません。

台風19号は、関東としては史上最強クラスの台風となりそうです。

10月の台風は大雨になりやすい

今回の台風19号は、暴風に加えて、大雨に警戒が必要です。

というのも、10月の台風は大雨になりやすいのです。

2017年10月23日、超大型で強い台風21号が静岡県御前崎市に上陸し、関東を通過しました。「超大型」の台風が上陸するのは、記録が残る1991年以降では初めてのことでした。

このときは、東海や近畿を中心に500ミリを超える記録的な大雨となっています。48時間降水量は、和歌山県新宮市の新宮アメダスでは888.5ミリで、観測史上1位を記録しました。

東北から西日本の広い範囲で、大雨により河川の氾濫や浸水、土砂災害が発生し、死者は8人、負傷者は215人でした。

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