MBA経営代表・山田修(Part2)--現場の話を聞き、何がうまくいく方法かをかぎ分ける能力が必要

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フィリップスライティングの場合は、世界最大の照明機器会社で豊富な品ぞろえをしていたのですが、従業員が85人しかいないという点に問題がありました。まずは現場の話を聞いて、数ある商品の中から、プロジェクターランプと自動車ヘッドランプの2大商品に絞ることにしました。直の顧客もたくさんいましたが、代理店に移譲し、営業の負荷を減らして2大戦略商品に力を注いだんです。人員も、85人から61人減らし、4分の1をリストラしました。最後まで人数を増やさなかったのですが、1人当たりの効率が3年間で4倍になり、1人当たりの経常利益も大幅に改善されました。現場の話を聞き、いわゆる“集中と選択”を行ったことが最大の成功要因です。

--前任の社長には、情報をかぎ分ける能力がなかったということでしょうか。

前任の方がどのようなお仕事をされていたかはわかりません。ただ、着任して秘書と初めてごあいさつしたときに、「お仕えするのは山田さんが5人目です」と言われました。フィリップスは92年から松下と合弁を解消し、独立してやっていたのですが、毎年日本人社長が採用されてはクビになっていたそうなんです。外資なんて、1年で結果を出さなければクビになるものですが、入社するまでその話は聞いたことがありませんでした(笑)。私は運がよかったのだと思います。転職でキャリア開発をするときに大切なのは、まずは踏ん切りです。オポチュニティとともにリスクもあるわけですよ。

でも、最後にいちばん大切なのは運。実力があろうとも、いいポジションがあろうとも、最後は自分でコントロールできない運なのです。私は運に恵まれていたのかな、と思います。

(写真:梅谷秀司)

やまだ・おさむ
 1949年生まれ。学習院大学・大学院修士卒(国文学)。 サンダーバード国際経営大学院MBA、元同校准教授及び元日本同窓会長。20年以上に渡り外資4社及び日系2社で経営専門家として社長職を歴任。不調業績をすべて回復させるなどして「再建請負経営者」と評された。フィリップス社長在任中に経営学博士課程を修了し「MBA社長」の異名も。「売れる仕組みと儲かる仕組みの構築」を早くから提唱、組織戦略とコミュニケーションを重視している。ブログ「戦略経営 山田修」を執筆。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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