10代スマホ所有率「うつ・自殺」との不吉な関係

「常時つながっている」ことがもたらす危険

人として幸福に生きるためには孤独が必要なのに、私たちはそのことに気づかないまま、人生に不可欠なその要素を着々と減らしてきた。要するに、人はつねに接続し続けるようには作られていないのだ。

1889年、名声が高まり始めたちょうどそのころ、フリードリヒ・ニーチェは自らの哲学を概観する本を出版した。彼は『偶像の黄昏』と題されたこの本をたった2週間で書き上げたという。

巻頭に、ニーチェが関心を抱いていたトピックに関する短文が並んだ章がある。この章(具体的には箴言34 )に、次のような力強い主張が見つかる。「歩いて到達した思想にのみ価値がある」。大学教授を辞しスイス東部の村で夏を過ごしたニーチェは、ヨーロッパでもっとも眺めの美しい山道を1日最大8時間も歩いたという。

「他者の思考のインプット」からの解放が大事

歩けば、実り多き孤独な時間が手に入る。忘れてはいけないのは、ここでいう孤独とは他者の思考のインプットから解放された状態を指すということだ。散らかった文明に反応しないからこそ、歩くことのメリットを享受できる。

私はMIT(マサチューセッツ工科大学)の博士研究員だったころからこれを実践している。散歩の目的はいろいろだ。今は大概、大学教授として抱える問題の解決に取り組むか(本業はコンピューターサイエンス研究なので、数学的な証明を考えるとか、執筆中の本の1章のアウトラインを組み立てるとか)、熟考すべきと判断した人生のいずれかの側面について内省するかしている。

時には“感謝の散歩”と私が呼んでいるものに出かけることもある。天気がいいから歩く、気に入っている一角をじっくり歩くというだけのことだ。とりわけ忙しかったりストレスが多かったりする時期であれば、つらい日々がずっと続くわけではないという前向きな気持ちを引き寄せたくて歩くこともある。

もしも散歩ができなければ、私は途方に暮れてしまうだろう。私にとって散歩は、自分と対話する最良の時間になっているのだから。歩いて1人の時間を過ごすあなたなりのメリットを見つけてほしい。戦略としてはシンプルそのもの──定期的に長い散歩に出かけること。できれば景色のきれいな場所がいい。

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