レッドブル「空のF1」エアレース突如終了の背景 日本人の室屋義秀選手は有終の美を飾るも…

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世界的なモータースポーツとして名高いのがF1だ。2018年シーズンの集客数は400万人以上となり、エアレースの約10倍だ。F1の賞金が年間総額約1100億円であるのに対して、エアレースはアマチュアスポーツという位置づけのため賞金はゼロ。

千葉大会で優勝した室屋(左から2人目)と2019年シーズンの総合王者となったマット・ホール(右から2人目)(編集部撮影)

世界中を転戦するエアレースの開催には会場設営から機体・機体の整備を含め多額の資金が必要であり、レッドブルが主催する他のイベントとはケタ違いの費用がかかる。

エアレースに参戦する各チームも、運営費を支えるスポンサーの獲得に苦戦していたようだ。

さらに今年、中国で初のエアレース開催が予定されていたが、実現しなかった。中国・上海での開催が2014年に発表されていたが、このときも中止になっていた。実現すれば起爆剤になったはずだ。

中止となった理由の1つとして、中国に厳しいネット規制があることも影響した。中国本土では、Google、Facebook、Twitter、LINEなどを基本的に使用することはできないが、エアレースはホームページやテレビでLIVE配信され、SNS等を通じてレースの詳細情報がリアルタイムで更新されることも醍醐味の1つだった。

元エアレースパイロットとなった室屋の今後は?

日本でエアレースを広める立役者となった室屋義秀は、幼少期の頃にガンダムのアムロ・レイに憧れを抱いた。18歳のときに大学の航空部で飛行訓練を開始した室屋は本場アメリカに渡って飛行機ライセンスを取得、エアロバティックス世界選手権などにも出場して技術を高めていった。2009年からワールドチャンピオンシップに参戦してきた。

東日本大震災では、福島市に拠点を置く室屋自身も大打撃を受け、生活自体が危うくもなった。だが、室屋は決して諦めることはなかった。メンタルトレーナー白石豊氏のアドバイスを受けながら、2017年には世界王者に登り詰めたのだ。

エアレースに参戦した54戦の中で室屋に会心のレースについて聞いてみると、「今年のUAE・アブダビ(開幕戦)とロシア・カザン(第2戦)では負けないというのがありましたね」と言うように、2019年シーズンの室屋は開幕から2連勝して、過去最高のスタートを切った。

レース終了後に感極まった室屋義秀(編集部撮影)

だが、3戦目でふるわず訪れた千葉大会。奇跡的な勢いでファイナル4に進出した室屋は優勝を果たした。

「ホームレースの千葉は、特別な場所で、実力だけでなく応援してもらっている力を感じています。

最終的に勝てたというのは、いろいろなエネルギーをいただいているなと思っています。自分の力を出し切れたので、満足感のある終わり方ができました」と感極まる室屋の言葉が、感動的なフィナーレを演出した。

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