カシオの関数電卓、地味に2000万台売れる理由 Gショックだけじゃない、陰の大黒柱の正体

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カシオが教育事業に力を入れるのは、毎年新入生など一定規模の新規顧客を確実に見込むことができるうえ、生産量を予測しやすく、生産過剰に陥るリスクが少ないからだ。同社教育関数BU(ビジネスユニット)事業部長である太田伸司執行役員は「親が子どもたちの教育に投資を惜しまないのは万国共通」と教育事業の強みを話す。

さらに、数学教育が発展途上だった東南アジアなど新興国市場に着目。数学を効率よく学習できるように関数電卓による数学教育法を普及する取り組みを、1995年のベトナムを皮切りにタイやフィリピン、インドネシア、サウジアラビアなど十数カ国で展開している。

中東やアフリカに出回る偽関数電卓

カシオは関数電卓をただ販売するのではなく、現地の行政や研究機関と連携して関数電卓による授業の効果を検証している。2012年に行われたOECD(経済協力開発機構)の「国際的な生徒の学習到達度調査」(PISA)では、初めて調査に参加したベトナムが数学部門で17位を記録するなど関数電卓による指導の効果がみられるという。

カシオの隠れた高収益事業・関数電卓(右)(撮影:尾形文繁)

中東やアフリカなどでは、義務教育制度などの整備がこれからという地域も多く、関数電卓の拡大余地は大きい。一方で、これらの地域ではカシオをかたる偽関数電卓も出回っている。太田氏は「品質はもちろん正規品のほうが優れているが、思ったよりも出来がいい偽物も多い」と警戒感をあらわす。

偽物の中には演算処理をしているわけではなく、数字と数式のパターンを記憶させて計算式の答えを表示させているものや、ただの飾りとなっているソーラーパネルなどが多い。

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