香港がフェイクニュースには踊らされない理由 大陸からの情報操作は効果を上げていない
香港の混乱に終わりがみえない。犯罪者を中国本土に引き渡し可能とする「逃亡犯条例」改正案に反対する市民の抗議活動は3カ月以上も続いている。週末を中心に日が落ちるとデモ隊が市の中心部や繁華街の路上に出て、それを抑えようとする警察の機動隊との対峙が始まる。根本には、中国に対する強い反感がある。経済的に一体化が進んでも、香港の人々が抱える中国への違和感は減るどころが、むしろ増大しているのだ。
『週刊東洋経済』は9月30日発売号で「中国 危うい超大国」を特集。10月1日に建国70周年を迎える中国の膨張によって緊迫する香港・台湾の情勢や、今後の経済成長の原動力になる中国独自のイノベーション動向をルポ。さらに日本企業のライバルである中国の有力企業100社、ユニコ―ン企業100社のデータなどを満載して、この不安定な大国の内実を分析した。
香港で広がる偽情報
現在の香港では中国本土発と思われる偽情報や誹謗中傷がインターネット上であふれている。さらには偽装工作、当局者によるデモ隊への潜入、中国国営メディアによるフェイクニュースなど不穏な動きが後を絶たない。
「香港では警察が市民に暴行を受けている」「香港市民はみんなテロリストだ」。このような香港に対する批判コメントや誹謗中傷がウェイボー(ミニブログ)など中国のSNSでは出回っている。さらにフェイスブックやツイッターなどでも香港の市民に対する中傷が出回っている。中国では通常、グレート・ファイアウォールと呼ばれる巨大な検閲システムによってフェイスブックやツイッターの使用が制限されている。だが、一部のユーザーは使用制限をかいくぐって、または特別に当局から許されて中国本土から発信しているとみられる。
8月半ばには米ツイッターが中国政府の関与が疑われる約900件の不正アカウントやツイートを開示。不正アカウントを凍結した。また米フェイスブックも中国由来とされるアカウントを削除した。両社とも声明で「国家の支援を受けている組織的な工作である証拠がある」(ツイッター)、「調査で中国政府関係者のつながりを見つけた」(フェイスブック)と発表している。
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