香港がフェイクニュースには踊らされない理由

大陸からの情報操作は効果を上げていない

動画共有サイト「ユーチューブ」を運営する米グーグルも中国政府が動画を利用して香港に混乱をもたらそうとしていると指摘。香港デモに関する偽コンテンツを出していたとされる約200チャンネルを削除した。

SNSだけでなく、マスメディアが偽情報を流す事例も出ている。米のネットメディア・バズフィードは中国国営の英字新聞「チャイナ・デイリー」が虚偽情報を流していると報じた。香港で行われている抗議集会を逃亡犯条例改正案に賛成しているものだと伝えていると指摘している。

また同社はツイッターやフェイスブックで配信されていた香港デモを「破壊者」だと非難する文章や動画は「チャイナ・デイリー」や新華社通信、中国環球電視網(CGTN)など中国国営メディアがスポンサーの広告であることも報じた。これらは、国際社会での香港の民主派のイメージを損ない、香港当局に援護射撃するための情報操作だとみられる。

香港では情報操作の効果は限定的

偽情報やプロパガンタなど情報戦が展開されているが、香港での効果は限定的なようだ。決して中国の情報戦能力が弱いわけではない。昨年11月の台湾で行われた統一地方選挙では親中国の中国国民党(国民党)が台湾独立志向の民主進歩党(民進党)の牙城だった高雄市で勝利するなど大躍進した。

高雄市長になった国民党の韓国瑜氏がネット上などを中心に人気を博したこと背景とされるが、現政権与党の民進党側は中国による情報操作で韓国瑜氏のイメージアップが図られる一方、対立候補に対する誹謗中傷など情報工作が影響したとの見方を示した。台湾総統府直轄で安全保障政策を決定する国家安全会議は9月23日に開かれた会議の内容を発表。なかには中国の情報操作によって2020年1月に行われる台湾総統選への情勢に影響が出る懸念が示されていた。

台湾では大きな影響が懸念される中国による情報戦は、なぜ香港では効果があまり出ていないのか。情報の生態系研究やニュースリテラシー教育を専門とする香港大学ジャーナリズム・メディア研究センターの鍛治本正人准教授は香港市民がある程度の「免疫」をもっていると分析する。

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