「ホットペッパーグルメ外食総研」が発表した、増税前に外食で食べておきたいものに関する調査によれば、1位「焼肉・ステーキ」、 2位「すし」となったそうだ。やはり単価が高いものに重税感があるといえる。
しかし、もしかすると、それは逆かもしれない。今回政府が行うキャッシュレス還元策が恩寵となるかもしれないのだ。
高級外食ほど5%トクになる?
この「キャッシュレス・消費者還元事業」では、中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等でキャッシュレス支払いを行った場合、5%の還元が受けられるという話はご承じのとおり。サービス業なら資本金または出資金の総額が5000万円以下、従業員数は100人以下だ。個人経営の飲食店はバッチリ該当するはずだ。
例えばカリスマオーナーシェフが切り盛りするような予約を取りにくい人気店だって、企業の規模で言えば中小だ。しかも、高級店であればたいていカード払いに対応している。新しく設備を導入する必要も少ないだろう。
2020年6月いっぱいまでのキャッシュレス還元期間なら、チェーンの低価格の店より個人経営のこだわりレストランのほうがオトクに還元が受けられる可能性が高いということになる。ただし、その店が今回の事業に登録している必要はあるが、店が費用を負担するわけではないので、そこはプライドは捨てていただくよう勧めたい(ちなみに条件に合っていても課税所得15億円を越えるとダメだそうだが、そんなに稼いでいるオーナー経営者ならもっと節税対策もしっかりやっていると思われる)。
高級外食なんて利用しないよ、という人もご安心を。先日、経産省がリリースした還元対象店を地図上で表示する公式アプリを手に、渋谷の繁華街を歩いてみた。すると、居酒屋も焼肉屋もイタリアンも、そしてカラオケボックスも、対象店としてどっさり表示されたのだ。
そもそも店が還元対象になるためには、支払い手段となるキャッシュレス事業者が代行して登録を済ませる手続きになっているが、かなりその営業力が発揮されているとみた。この分では、飲み代の税額アップには悩まされずに済みそうだ。
さて、ではその還元対象に入りそうにない居酒屋チェーンなどはどうなるか。
これも決済事業者が頑張っている。例えば楽天ペイは、この事業の対象になっていない加盟店であっても5%還元を行うキャンペーンを発表した。この中には白木屋・魚民などモンテローザ系の居酒屋も含まれている。還元の期間は10月1日から2020年6月いっぱいと、国の事業と同じ期間だ。
これはあくまで予測だが、今年の忘年会シーズンは「早期予約で10%還元キャンペーン」など、客を呼び込む実質値下げが行われるのではと思う。ネットの予約サイトも、今年はポイント付与率を引き上げるなどして猛アピールするのではないだろうか。
しかしながら、考えてみれば外食こそ景気に左右される支出といえる。不景気になれば真っ先に削られるお金なのだ。ここに税率を重くするのは、余計なお金は使うなと言わんばかりの策ではないか。もし政府が本気で消費増税により税収を上げたいのなら、こうした楽しみに使うお金こそ税率を軽くすべきだと思うのだが、いかがだろう。
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