中国・全人代開幕、4兆元景気刺激策をめぐる議論の行方--仲大軍・北京大軍経済観察研究中心代表(中国エコノミスト)

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5日から始まった中国の第11回全国人民代表大会(全人代=国会に相当)は、会議冒頭の政府工作報告で温家宝首相が今年の経済成長目標を「8%程度」と表明し、雇用維持の最低ラインとされる8%成長を死守する姿勢を改めて打ち出した。そのための牽引車とされるのが、今後2年で総額4兆元を投じる景気刺激策を通じた内需拡大だ。経済政策を巡ってどのような討議が予想されるのか。

中国の著名エコノミスト、仲大軍氏に聞いた。

--今年の全人代では内需拡大が最大のテーマになりそうです。

いま重要なのはいかに経済危機に対応するかだ。経済危機がどの程度深刻だと見るかによって、今後にとるべき手段の判断も相当に変わってくる。おそらく民営企業の経営者からはいろいろな意見が出るだろう。とくに不動産業者は、物件の売れ行きが非常に落ちており、このままでは資金繰りに行き詰まる企業が続出する。(輸出基地である)沿海部での企業倒産は去年から顕著に増えているが、その影響が内陸部にまで広がってきた。さまざまな業界出身の代表から、政府の経済政策について厳しい注文が続くだろう。

--景気刺激策を巡って、全人代ではどのような対立点が考えられますか。

4兆元の景気刺激策の必要性自体についてはおおむね一致がみられる。中国は発展途上国であり、経済建設は必要だ。そのために資金を投じるのは方向としては正しい。すでに昨年12月の時点で8000億元、今年1月には1兆6200億元が投じられた。だが、プロジェクト実行の過程における資源の浪費、腐敗の発生が懸念されている。

中央が4兆元の景気刺激策を打ち出したのに乗じて、地方では合計16兆元もの膨大な投資計画が出てきた。この中には以前に必要性を否定されたものが、かなり含まれており、全人代では個別案件について反対も出るだろう。

実際、明らかに不合理な計画もある。たとえば人口が600万人あまりしかない寧夏回族自治区の銀川では、(首都のターミナルである)北京西駅に匹敵する巨大な駅の建設が進行中だ。地方政府が主導している政府ビル、空港、道路などの建設プロジェクトには投資効果に疑問が残る案件がたくさんある。

私は内需拡大のためには消費の活性化のほうが重要で、そのためには社会保障や福祉の拡充にこそ力を入れるべきだという立場だ。GDPの成長を速めるだけでは人民の生活改善にプラスにはならない。(巨大陵墓などを建設した)秦の始皇帝時代の成長率は高かっただろうが、それは人民の暮らし向きとは無関係だ。

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