「セクシー発言」小泉進次郎は中身がないのか 脱火力で立ち往生、汚染水処理で批判相次ぐ

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一方、小泉氏をめぐる今回の国際的騒動について、任命権者である安倍首相は「われ関せず」(側近)とばかりに傍観を決め込んでいる。小泉氏を環境相に起用した際、首相は周囲に「どれだけやれるか試す」と漏らしたとされる。首相周辺も「小泉氏が環境相として成功すれば政権にプラスとなり、失敗なら小泉氏1人が責任を取ればいい」と突き放す。

その小泉氏が就任と同時に直面したのが、福島原発事故に伴う放射能汚染水の処理問題だ。原田義昭前環境相が退任直前の記者会見で、「希釈して海に流すしかない」と問題提起、地元が猛反発する中でのバトンタッチとなったからだ。

就任会見で原田発言について聞かれた小泉氏は「所管外」と断りつつ、「福島の関係者の方々がこれ以上傷つくことのない議論を」と語ったうえで、翌日には福島県に赴き、内堀雅雄知事や地元漁業関係者に後任環境相の立場で謝罪した。

大臣就任でにじむ「これまでと違うという不安」

ただ、原田氏がすぐさま雑誌のインタビューなどで「寄り添うだけでは被災地は救えない」と小泉氏に苦言を呈し、与党内でも「小泉氏は大臣として汚染水処理問題を政治決断する立場。行政のトップとしては極めて稚拙な対応」(閣僚経験者)との批判が相次ぐ。

自民党が惨敗した10年前の「政権交代選挙」で初当選して以来、端正な容姿と父親(小泉純一郎元首相)譲りの歯切れよい弁舌で、瞬く間に「自民党の若大将」(自民幹部)に躍り出た小泉氏。とくに、国政選挙での街頭応援演説では必ず「ご当地ネタ」で聴衆をひきつけるなど、「演説での抜群の運動神経」(自民選対)で首相をしのぐ人気応援弁士として東奔西走してきた。

その一方で、テレビの討論番組には出演せず、野党議員との1対1の政治論議も避けてきたとされる。政局の節目や政権スキャンダルの発覚時にも、父親が得意だった当意即妙のコメントを発してきたが、大向こうをうならせる小泉流発信は「言いっ放しの一方通行」が大半だった。

しかし、「行政のトップとなれば説明責任や決断が求められる。当然、メディアも小泉氏の発言を厳しく検証するようになる。(就任以降の小泉氏の表情には)これまでと違うという不安がにじんでいる」(閣僚経験者)との見方も広がる。

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