マックの「ドナルド」実は名前が違うという衝撃 意外と統一性がない外国人の名前の呼び方

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気になっていろいろ調べてみますと、どうやら日本にマクドナルドが入ってきた時代に「ロナルドだと発音しにくい」ということから「ドナルド」になったということのようです。Ronald McDonaldとDonald McDonald、う~ん、英語圏の私にはピンとこないのですが、みなさんはどちらが発音しやすいですか?

ロナルドつながりでもう1つお話しますと、第40代アメリカ大統領といえば「ロナルド・レーガン(Ronald Regan)」ですね。ハリウッド俳優として若い頃から知名度の高かったレーガン氏ですが、実は若い頃は「リーガン」と名乗って(発音)いまして、日本でも大統領就任当時はニュースでも「リーガン大統領」と記載されていました。

レーガン大統領、もとは「リーガン」だった

実際Reganというつづりはアメリカ英語では「リーガン」に近い音なのですが、ご本人が途中から「レーガン」と名乗るようになって、日本のメディアもある段階で記述を「レーガン」に切り替えています。レーガン氏はもともとアイルランド系の家系で、アイルランド式の発音では「レーガン」と発音するので、自分の出自にこだわって発音を変えたようです。

こうして名前にまつわるエピソードを見てみますと、英語のつづり(アルファベット)と日本語の五十音は1:1で対応させることはかなり難しいことがわかります。ここにヒアリングの壁ともいえる問題があり、五十音という固定観念を英語については捨てることで、ヒアリングはかなり改善されるでしょう。

ただ、これは何も日本語固有の問題ではなく、世界にはいったいこの人の名前はどう発音したらよいのだろう、という人がうんといます。そんな時は遠慮なく「How I pronounce your name?(君の名前はどう発音したらいいの?)」と聞いていいと思います。

大体そういう難読な名前の人は本人も(日本の末次さんもそうであるように)心得ていて「ああ、本当はSuetsuguだけど、スエさんとよんでください」というようなコミュニケーション上の工夫をしているようです。こうして互いの違いをわかりあう姿勢は、語学という領域を超えて必要なことですね。

なんにせよ名前は個人のアイデンティティーの最も重要なもの、互いに大切にしあいたいものです。

デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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