定額給付金の経済効果GDP0.2%? 論戦から見えた日本の経済統計の問題点
筆者は財政金融委員会というものに所属している。そこで議論を行ったのが「一人当たり1万2千円を配る定額給付金の財源を手当てする法案」だ。
まさしく今日2009年3月4日に、この法律が成立したので、定額給付金の是非はもう語らない。しかし、ただひとつ、最後になって強調されるようになった経済対策効果「この定額給付金の経済効果がGDP 0.2%」だという予測を行った政府の体制の問題点だけは指摘したい。
政府は、衆議院において定額給付金の経済効果を、40%が追加消費に回った場合は0.15%とし、しかも0.15%を四捨五入して0.2%と公表している。
ちなみに地域振興券のときは32%が追加消費に回った。使う期限が限られており、高齢者と育児世帯に配布した地域振興券よりも、誰にでも現金で配る定額給付の方が経済効果が高いという仮定には疑問だ(自治体によって配り方は異なるが、おそらく現金配布が多いのではないかと言われている)。
このように0.2%という数値自体、そもそもその値も疑問が多いが、この予測を行った政府部門が出している政府の経済成長予測も大きな問題がある。
大きく食い違う政府経済予測
各機関の経済予測を見てみよう。政府見通しでは2009(平成21)年度に0%に好転すると予測している。一方、日銀は逆にマイナス2.0%に悪化することを想定。さらに、IMFの見通しでは、2008(平成20)年のマイナス0.3%から09年のマイナス2.6%に大きく悪化するとなっている。このように、日銀やIMFの景気悪化予測に対して、政府は逆に景気好転を予測している。あまりにも楽観的な政府予測。これでは大本営発表と一緒ではないか。
6人が1カ月でまとめた経済予測 体制の強化が喫緊の課題
なぜこのようなことになるかというと「あまりにも少人数」で経済予測を作っているからだ(経済予測担当の皆さんはほとんど毎日徹夜状況で作業をされているようだ。ご苦労様です)。
予測する人数が問題ではない、との指摘もあると思うが、やはり少人数で作業をしている以上、細かいところまで数値が詰め切れていない(もしかしたら、政府は筆者にだけ細かい数値を開示しないのかも知れないが)。