パナソニックとシャープを分析する 「経営の危機」は乗り越えたのか?

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この前期末時点で、シャープの自己資本比率は6.4%と非常に低い水準でしたが、同社は減資と併せて増資を行いました。増資とは、新株を発行して会社の資本金を増やすことです。

シャープの発表によると、公募増資と第三者割当増資を合わせて5億株以上の新株を発行したということです。公募によって新株式を4億0800万株発行したうえ、第三者割当増資も行いましたから、合計で5億株超を新規発行したことになります。元の株数が11億7400株ですから、約45%も株数を増やしたことになります。

その分、1株当たりの利益も希釈しますし、1株当たりの価値も希釈します。同じ利益が出ていても、株数が増えた分、配当が減るわけですから、当然ですが、株主は喜びません。

このように、株式が希薄化していることもあり、シャープの株価はなかなか上がりにくいのです。2012年秋に149円まで値を下げた同社の株価は、直近(2014年2月10日終値)で324円くらいまでしか戻せていません。

ただ、シャープには、こうしたリスクを負ったとしても、背に腹は代えられずに資金調達しなければならない事情がありました。「負債の部」を見ますと、「流動負債」のうち「短期借入金」が7560億円、「1年内償還予定の社債」が1303億円。「固定負債」のうち「社債」が600億円、「長期借入金」が2481億円ですから、有利子負債は合計で1兆1944億円になります。

このように巨額の負債を抱えているわけですから、今のシャープにとっては、株でファイナンスしてもらうのが、いちばん都合がいいのです。株主にとっては好ましくありませんが、安定した返済義務のない資金が入ってくるわけですからね。

また、「資産の部」にある「現金及び預金」は、この段階で3185億円です。増資によって1365億円の資金調達ができたことで少し資金に余裕ができました。

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