常勝バイク「インディアン」最新モデルの深み 「FTR1200S」レースレプリカモデルに試乗!

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何度かの合併を繰り返しつつ、1950年代までレースの世界で活躍をしながらも倒産を迎える。その後も幾度にもわたる再建・倒産を繰り返しながらも、そのブランドを深く理解し、新しい製品、モーターサイクル作りを行う投資家との出会いに時間を必要とした。

Indian FTR 1200Sと実際に試乗した筆者(編集部撮影)

そのため、インディアンブランドは伝説的なメーカーとして、その名だけが独り歩きをして来たのが実情だろう。

2005年には、アンソニー・ホプキンス演じるバート・マンローの実話『世界最速のインディアン』が公開されインディアンというブランディングに新しい流れが加わった。

2011年、パワースポーツのリーディングカンパニーであるポラリス・インダストリーズ社が商標権と製造販売の権利を獲得、まったく新しい体制で新型機種の開発がスタートし、いまに至る。

新生インディアンが目指した方向性

今回試乗したFTRに先駆けて、新体制インディアンでは伝統的なアメリカンVツインエンジン搭載車をいくつかリリースしている。

旧態依然としたスチールフレームにエンジンをラバーマウント搭載するライバルメーカーの手法ではなく、ポラリスのエンジニアたちは(アルミフレームにエンジンを直接取り付ける)リジットマウントすることで、大型車にありがちな「だる」なハンドリングではなく、狙ったとおりのライントレースをできるハンドリングに仕上げた。

さらには、モデルによってはエンジンも水冷化することで高い信頼性をユーザーへ提供し始めた。この事は、アメリカ国内でのフリーウェイを走る2輪車の平均速度が10マイル(時速16km/h)上がったと言われる程だ。

ポラリスのエンジニアリングは極寒の環境で使用するスノーモービルが主力製品であることから、エンジントラブルは即ユーザーの生死に関わる。そのため、エンジン開発には相当なマージンを与えて開発を進めてきたことが窺える。

こういった高い信頼性のもとで、新生インディアンブランドとしてもかつてのレースでの栄光とともに、アメリカンスポーツバイクのカテゴリーに打って出たいのは至極当然であろう。

ワークスマシン「FTR750」は、2017年よりプロトタイプエンジンでのアメリカンフラットトラックに参戦し、それまでに培われて来た信頼性を基礎として復帰1年目からチャンピオン獲得、一気に3年連続のチャンピオンという実績はまさに、アメリカンモーターサイクルレーシングの頂点に返り咲いたと言えるだろう。

その公道バージョンが「インディアンFTR1200S レースレプリカ」。今回の試乗で驚かされたのがそのエンジンパフォーマンスだ。

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