大阪「なにわ筋線」、ついに始動した大事業 総事業費3300億円、関空―新大阪間が便利に

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一方、大阪都心部の貨物駅は国鉄改革に伴い再開発対象の土地となり、都市再生特別措置法による都市再生緊急整備地域の指定を受け、「大阪駅北地区まちづくり基本計画」が立てられた。機能移転先の地元交渉は長引いたが、2013年に吹田貨物ターミナル(新設)、および百済貨物ターミナル(既存貨物駅を改良)に移転して梅田駅は廃止された。

『鉄道ジャーナル』2019年11月号(9月21日発売)。特集は「なにわ筋線と大阪」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

これに先立ち先行処分が可能だった東側、梅田貨車区や車扱ホームがあった部分7ヘクタールが「うめきた」の第1期分として更地化され、新しくなった大阪駅とデッキでつながるビル街として、2013年4月にグランフロント大阪がオープンした。

残る第2期部分の17ヘクタールについては、貨物駅移転が決定した2011年に区画整理などの都市計画が決定され、2017年、UR都市機構が実際の開発案を事業者からコンペ形式で募った。そして、更地化も終えた2018年7月、「希望の杜-OSAKA“MIDORI”LIFE 2070の創造」をコンセプトに掲げた三菱地所を代表者とするグループに開発事業者を決定している。2024年、街びらきの予定である。

梅田貨物線を地下化

この都市計画決定に際して、大阪市は、渋滞を引き起こす踏切の解消と、「うめきた」開発地と既存の町の一体化を目的に、梅田貨物線を地下化する連続立体交差化事業を織り込んだ。さらにここに、至近を走りながら大阪駅に相当する駅がないウィークポイントを解消する、JR西日本としての新駅設置事業を組み込んだ。工事区間は約2.4km、うち約1.3kmがルートを変える別線施工部で、さらにその中の約1.0kmに新駅設置事業が織り込まれる。事業費は東海道本線支線地下化が540億円、新駅が150億円。

この両事業は目下、街の建設に先行して工事が進められ2023年3月に開業の予定である。すなわち、この新駅が北梅田(仮称)であり、なにわ筋線はその北梅田から分岐して建設されることになる。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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