「育休」働き方多様化時代に合わない問題点4選

現代の社会環境にマッチしない面がある

正社員については、法律の原則では勤続年数にかかわらず育児休業を取得できることになっています。ですが、例外として、会社と労働者代表が労使協定という書面を取りかわした場合、正社員であっても入社後1年未満の育児休業の取得を会社は拒むことができるようになります。実務上は多くの会社で、この労使協定が取り交わされています。

結局のところ、正社員・非正規社員問わず、入社後1年未満の場合は、育児休業を取得することは事実上困難であるということです。

正社員として働く人の割合が高く、終身雇用が原則の時代であれば、入社後1年未満の育休取得制限は大きな社会問題にならなかったかもしれません。しかし、現在は、非正規社員が増加し、正社員であっても転職をすることも珍しいことではなくなりました。

たまたま転職直後に妊娠・出産の時期を迎えたというだけで、育児休業が取得できないというのは不都合ではないでしょうか。就職や転職のタイミングにかかわらず、育児休業を取得できるような法改正が望まれます。

さらに厳しい条件

第2の問題点は、非正規社員に関して、育児休業を取得するための追加条件として、「子が1歳6カ月になるまでの間に、更新されないことが明らかである者」は、育児休業を取得することができない、とされていることです。

「更新なし」の条件で有期契約を締結していたり、契約更新回数に上限が設けられている非正規社員は、この条件にひっかかって育児休業を取得できなくなってしまう可能性があります。

平成29(2017)年10月1日施行の育児・介護休業法改正以前は、「子が1歳以降も雇用継続の見込みがあること」という条件が定められていて、3カ月や6カ月といった短期契約で雇用されていた非正規社員は、育児休業の取得が困難であったため、この条件が現在は撤廃されていることは、間違いなく大きな進歩です。

しかし、どのような形であれ、契約の更新の可能性によって育児休業の取得可否が左右されてしまうのは、非正規社員の妊娠・出産の不安要素となってしまいます。現在、働き方改革法で推し進められている「同一労働・同一待遇」という観点からも、非正規社員が正社員よりも育児休業を取得しにくいという格差は是正される方向が望ましいのではないでしょうか。

第3の問題点は、育児休業を取得できても、育児休業給付金を受給できないケースがあるということです。

育児休業取得期間中は、180日目までは元の給与の約67%、それ以降(原則1歳までで、保育所などに預けられないなどの理由により2歳まで支給期間の延長を行える)は50%の育児休業給付金が国の雇用保険から支給されることになっています。

ところが、育児休業給付金は、前述の入社1年以上の「第1の問題点」をクリアして育児休業給付が取得できたとしても、自動的にセットで支給されるわけではなく、さらに追加の条件をクリアしなければ支給されないのです。

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