「育休」働き方多様化時代に合わない問題点4選

現代の社会環境にマッチしない面がある

その追加の条件とは、カレンダーの「月」とは関係なく、育児休業の取得日を起算点に、1カ月区切りで2年前まで(※)さかのぼり、その区切られた期間内に出勤日が11日以上ある月(これを「被保険者期間」という)が、12カ月以上ある、ということです。

(※)傷病などにより勤務できない期間があった場合は最大で4年前まで

ですから、例えば、入社からちょうど1年後に育児休業の取得を開始するという場合、女性の場合は産前産後休業期間に当たる3カ月弱は出勤ができないので、雇用保険の被保険者期間が12カ月に満たないということになり、育児休業は取得できても、育児休業給付金は受給できません。

前職がある場合

前職がある方の場合は、育児休業取得開始から2年前までであれば、前職の被保険者期間も通算できますので、前職通算で育児休業給付金が受給できるようになる場合があります。ただし、前職の被保険者期間を通算できるのは転職活動時に基本手当(失業手当)を受けなかった場合に限られますので、この点も注意が必要です。

条件がクリアできなかった場合は、育児休業給付金が受給できず、所得補償なしでの育児休業となってしまいます。共働きでなければ家計を維持できない世帯や、自分以外に収入源がないシングルマザー(ファザー)の世帯は、事実上、育児休業を取得することを断念せざるをえない状況に陥ってしまいます。

確かに、公的制度とはいえ、雇用保険も「保険」の一種なのですから、法定の給付条件である12カ月の被保険者期間を満たした人にしか育児休業給付金が支払われないのは当然のことであるという考え方が成り立ちますし、それが「公平」という見方もできるでしょう。

しかし、パート契約で本人が望んでも雇用保険の被保険者資格を満たす時間数や日数を働くことができなかったという場合や、あるいは、ハローワークで求職活動をして、たまたま転職先が決まった直後に妊娠が発覚するといった場合もあります(転職先が早期に決まり、実際に1円も基本手当を受給しなかった場合でも、ハローワークで求職の申し込みをしただけで、現在の法制度では前職の被保険者期間は通算できなくなってしまう)。

このような、使用者側の事情で雇用保険の被保険者期間が不足してしまったり、長年真面目に働いていてもタイミングの問題だけで育児休業給付金の支給要件から外れてしまったりするようなケースをできる限りなくし、育児休業給付金が受給できるような法制度に変えていくことが本当の意味で「公平」といえるのではないでしょうか。

さらに付言するならば、育児休業給付金を受給できる方に関しても、給与体系によって受給できる金額に不公平が生じてしまう場合があります。育児休業給付金の1日当たりの支給額が月度の賃金を基準として決まり、賞与については考慮されないためです。

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