会わないでいるとますます会いにくくなる理由 統計的に見ればきれいな反比例の法則に従う

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「さる者は日々にうとし」と言いますが…(写真:Kan.O/PIXTA)

私たちは人と会い、別れ、また会う。その頻度はさまざまで、ある人とは毎日会うし、別の人とは週1回会う。もっと不定期の場合もある。

この面会という現象の変化を定量化する指標として、最後に会ってから次にその人に会うまでの期間を考え、これを「面会間隔」と呼ぶとしよう。例えば、あなたは、上司のF課長と昼食を一緒にとって、午後1時に別れたとする。次に午後3時の打ち合わせで、再度F課長と会ったとする。このとき、面会間隔は、1時から3時までの時間をとって、2時間である。

この会っていない状態から会っている状態へ変わる、という離散的なイベントが起きる確率を考えよう。これは1秒あたり10%の確率で起きるかもしれないし、1秒あたり30%の確率で起きるかもしれない。

「ポアソン分布」とは?

面会というイベントが一定確率でランダムに起きるとすると、これは統計学では「ポアソン分布」に従うという。道に立って、タクシーの空車に出会うまでの時間はポアソン分布に従う。

その道に空車のタクシーが平均どれくらい存在しているかは統計値としては決まっているが、実際には、運がよければすぐつかまるし、運が悪ければ長く待つ場合もある。何度も試行すれば、平均の待ち時間を調べることもできる。これがポアソン分布である。平均待ち時間τ(ギリシャ文字の「タウ」)に1回タクシーと出会う確率として方程式に表すことができる。

人との面会の場合、例えばF課長に会う確率は、どうだろうか。平均1時間に1回のポアソン分布に従うだろうか。

拙著『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』でも解説しているが、私たちが開発した名札型のウエアラブルセンサを用いて、実社会で起きる面会のデータを大量に収集してみると、人に面会する確率は時間に対して、前述した一様なポアソン分布にはならないことが明らかになった。

これまで、私たちは延べ100万日という大量の人と人との対面データを計測してきた。この中には、経営者から新入社員まで、技術者から営業職まで、多様な人たちが互いに会ったり、会わなかったりするデータが含まれる。

次ページ大量データの解析結果に見る再会の確率の変化は…
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事