「離婚タワマン夫婦」がきっちり手切れする方法 無理して買ったタワマンに住み続けるには?
昨年掲載した記事「『離婚タワマン夫婦』が陥る住宅ローンの地獄」でも触れましたが、「家」に対する「こだわり」は金額に換算することができません。そこで今、急成長しているのが「リースバック」というシステムです。
リースバックとは、家を売却して資金を確保すると同時にリース契約を結び、毎月のリース料(自宅であれば家賃)を支払いながらそのまま家に住み続けることができるサービスです。財産分与のために家を売却してしまうと、その後、新たな住まいを確保しなければなりません。そうであれば、売却・財産分与後もそのまま今の家に住み続けるほうが楽でしょう。
いや、楽などという言葉で片付けてはいけません。今の家やマンションに合わせて調達した家具類などは、新しい住まいでは使いづらい。背伸びして購入したタワマンである場合はお金の余裕もないでしょう。新しいところに引っ越してもお金をかけることは困難です。とくに夫のほうは、こだわり抜いたタワマンのわが家と離れるのは、妻と別れるよりつらいことなのです。
家賃負担とキャッシュフローを見極めることが大事
筆者は女性なので、やや複雑な心境ですが、今回、男性の本音が聞けました。
リースバックのサービスを提供しているセゾンファンデックスの担当者に聞くと、「正直、離婚時の利用は想定外でしたが、喜んでいただいています」。リースバックでタワマンを売却すると「区分所有者」ではなくなるため、固定資産税の支払いが不要となります。管理費・修繕費がなくなるメリットもあります。リース契約における家賃も「相場より低い設定にしているところが多い」とのこと。
利用者は現役会社員の50代が多く、家賃負担も問題ありません。離婚したうえリース契約に改めたことを管理組合に知られるデメリットはあるものの、「理事会出席の必要がなくなり、かえって“よかった”と思われる人が多い」と言います。
熟年離婚が増えるにつれ、「義父母の介護・老後資金」の問題や「相続財産トラブル」も増え、それらの対策としてリースバック利用が多くなっています。実際、介護や老後資金をめぐっての「夫婦問題相談」は増えてきているので、その解決にはよいシステムだと思います。
また「高齢化した家庭」では、家が広すぎるという傾向があります。子どもが自立して家を離れた後、老夫婦だけでは家の広さをもてあましてしまう。手頃な広さの家に住み替えをする場合、まず大量の断捨離をしなくてはなりません。高齢者にはこれが重労働でしょう。
そんなとき、リースバックで今の家を売却し、しばらくは賃貸契約をしながら、住み替え先のマンションの費用を工面していく。そうすることで心も体も余裕ができて、時間をかけて引っ越すことができるそうです。
子どものいない高齢夫婦の場合、不動産を残す必要がないので、ある程度の年齢になったらリースバックで売却し、売却益からリース契約の家賃を支払いながら老後資金にゆとりを持たせる、というケースも多いようです。年金問題が大きく取り上げられる昨今、住み慣れた自宅で、穏やかな老後生活を送れるなら理想かもしれません。
ただし、注意もあります。それはキャッシュフローを見極めること。売却後、住み続けるには家賃が必要です。リースバックは、キャッシュフローとライフプランをしっかり確認してから、時機を見極めて行動に移していただきたいと思います。
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